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アネモネ属


このサイトで紹介している種

コロナリア キクザキイチゲ    
アネモネ、ボタンイチゲ
[コロナリア]
coronaria
キクザキイチゲ
altaica or pseudoaltaica
   

キンポウゲ科Ranunculaceae
学名Anemone L.
和名イチリンソウ属
英名anemone, windflower
分布ユーラシア、アフリカ(南部、東部)、北アメリカ〜チリ、日本
種数約90〜150種(資料によって異なります)
属名の性別女性

属名の由来

1.ギリシャ語の「anemos(風)」に由来するが、風当たりの良いところを好むことから。
2.古代セム語の「Naaman(アドニス[Adonis]:人名)」に由来するギリシャ語で、アドニスの血からアネモネ・コロナリア(ボタンイチゲ)が生まれたことから。

花言葉病気、期待
メモ

名前・伝説など
 一般にアネモネと言ったら、A. coronaria(コロナリア種)のことを指します。しかし、ここでも紹介している通り、「アネモネ」は属名です。一般のアネモネ(コロナリア種)と属名のアネモネを区別するために、このページでは、コロナリア種を和名のボタンイチゲと称することにします。
 上記のように、ギリシア神話に登場するアドニスが、この花に生まれ変わったという伝説があります。アドニスは、Adonis属(フクジュソウ属)の属名の由来にもなっています(例:ナツザキフクジュソウ)。同じキンポウゲ科同士、区別されていなかったのでしょうか?
 また、「mon(赤くなる)」に因み、根が赤いことに由来するとも言われているようです。サンスクリット、アッカド語、ギリシャ語の「赤」や「血」を意味する単語もこれと似た綴りをするそうです。


形態・生態・栽培など
 多年草です。花期は種によって異なり、春咲き、夏咲き、秋咲きの種があります。有柄の葉が根生します。葉は複葉で、各小葉には鋸歯があります。単生している花や、花序の下に付いているのは葉状の苞で、有柄、あるいは、無柄で、輪生しています。アネモネ属の花には花弁はなく、花弁のように見える物は萼片です(花弁と萼片の区別が付けられないため、花弁状の花被片とも言うようです)。色は、白、赤、紫、青などです。雄しべと雌しべは多数あります。果実は痩果で、集合果(集合痩果)を形成しています。

 アネモネ属は、開花期や生育特性から以下の三つのカテゴリーに分けられるそうです。栽培は、カテゴリーによって異なるそうです。大雑把には以下の通りですが、細かい点については、各種のページで解説することがあるかもしれません。

  1. 秋に花が咲く種で、繊維状の根を持つ…A. hupehensisA.vitifoliaA. × hybrida など
     部分的に日が当たり、湿気があり、肥沃な場所を好むそうです。また、深く耕してあると良いそうです。霜が降りるような所では有機質を含む土で覆うと良いそうです。増殖は、実生、株分け、根分けで行うそうです。

  2. 塊茎か根茎を持ち、森林地帯や亜高山地帯の草地で生じた種。春咲きのものも含む…A. blanda、ヤブイチゲ、ハクサンイチゲ、バイカイチゲなど
     保湿に優れ、且つ、排水性も良く、腐食質に富む土地が向いているそうです。夏季休眠の間は、乾燥に耐えるそうです。日当たりについては種によって異なり、十分な日当たりが必要な種や、明るい日陰を好む種があるそうです。冬の寒さに弱い種については、保護が必要だそうです。繁殖は、実生か、根茎を分ける方法があります。

  3. 開花期は春から夏で、乾燥した暑い夏となる地域に適し、開花後に乾燥した所での休眠を必要とする種…ボタンイチゲ、アカヤエアネモネ、A. pavonina など
     肥沃で軽い土壌で、日当たりが良いところを好むそうです。寒い地域では、マルチをするか、花後に塊茎を掘り上げて、冬を越すようにするそうです。


種類など
 種数は上記の通りです。日本には、12種があるそうです。一部の種を以下に挙げます。

キクザキイチゲ(A. altaica Fisch. ex C. A. Mey.A. pseudoaltaica H. Hara
A. blanda Schott et Kotschy
ボタンイチゲ(A. coronaria L.
・ニリンソウ(A. flaccida Fr. Schmidt
・アカヤエアネモネ(A. × fulgens Gayer
A. hupehensis V. Lemoine
  シュウメイギク(var. japonica (Thunb.) Bowles et Stearn
A. × hybida Paxt.
・ユキワリイチゲ(A. keiskeana T. Ito ex Maxim.
・ハクサンイチゲ(A. narcissiflora L.
・ヤブイチゲ(A. nemorasa L.
・イチリンソウ(A. nikoensis Maxim.
・アズマイチゲ(A. raddeana Regel
・バイカイチゲ(A. sylvestris L.
A. vitifolia Ham.


利用など
 観賞する他、含まれている成分を利用することもあるようです。毒性があるそうですが、薬用にもなるそうです。また、ニリンソウの若葉は山菜として食されるそうです。


本棚以外の参考文献
  • CRC World Dictionary of PLANT NAMES -Common names, scientific names, eponyms, synonyms, and etymology. CRC Press. 2000.

(2004.4.18.)
 
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