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サルビア属


このサイトで紹介している種

テキサスセージ パイナップルセージ ラベンダーセージ チェリーセージ コモンセージ
テキサスセージ
coccinea
パイナップルセージ
elegans
ラベンダーセージ
(‘Indigo spire’)
チェリーセージ
microphylla
コモンセージ
officinalis
 
メドウセージ クラリーセージ サルビア ボッグセージ ペインテッドセージ
メドウセージ
pratensis
クラリーセージ
sclarea
サルビア
[スプレンデンス]
splendens
ボッグセージ
uliginosa
ペインテッドセージ
viridis

シソ科Labiatae
学名Salvia L.
和名アキギリ属
英名sage
分布全世界(熱帯〜温帯。特にアメリカ)
種数900種以上(文献によって異なります)
属名の性別女性

属名の由来

 大プリニウス(Plinius、あるいは、Pliny。ローマの博物学者:AD23〜79年)が用いたラテン語名に由来する。「salvare、あるいは、salveo(救う、治癒)」に因むが、ある種に薬効が認められることから。
 英名は、賢人(sage)になる薬だから、ということに因むとも、ラテン語の「salvus(健康である)」がフランスに伝わって「sauge(ソージュ)」に変化し、更にイギリスで「sage」になったとも言われている。

利用部葉、オイル、種子、花など(種によって異なります)
利用法妊娠中は使用しない、食用、香料、薬用(種によって異なります)
薬効殺菌、収斂、去痰、止血、抗炎症、強壮、駆風、他(種によって異なります)
メモ

属の和名について
 「原色牧野植物大圖鑑」では、アキノタムラソウ属とされています。現在はアキギリ属ですが、一昔前の分類では、そのようにされていたのかもしれません。
 また、「最新園芸大辞典」ではアサギリ属とされています。こちらは誤字でしょうか?


生態・形態・栽培など
 一年〜多年生の草本か低木・亜低木だそうです。シソ科の特徴で、茎は四角で、葉は十字対生しています。葉の縁は、鋸歯がないか(全縁)、歯状(細かさに違いがあります)で、切れ込みが深いものでは、羽状全裂や頭大羽状になっているそうです。上位の葉は苞になっています。花序は輪散花序と呼ばれているもので、花柄の短い花で構成される集散花序が葉腋に着いて、茎を取り囲んでいるように見えます。萼は筒状、卵形、鐘形、漏斗型で、上下に二裂しています。二裂しているうちの上唇(上側)は不均等に三裂し、下唇(下側)は均等に二裂しています。花冠は筒状で、萼より短く内在するか、萼より長く超出しています。花冠も上下に二裂しています。上唇は、フード状、直立、平ら、鉤状のいずれかで、切れ込みがなかったり、二裂することがあります。下唇は更に三裂し、真ん中の裂片が側方の二つの裂片より大きくなっていることがあります。雄しべは5本のうち3本が退化しているそうで、完全雄ずい(花粉を作ることができる雄しべ)は2本だけだそうです。柱頭は二裂しています。子房は分果で、4裂しています。

 「The New RHS Dictionary of Gardening」によると、生態と形態による分類は以下のようになるそうです。なお、分子生物学的手法を用いて類縁性を調べた研究もあるようですが、手頃な文献が手に入らなかったので、ここでは省略させていただきます。

  1. 一年草

    1. 花冠の長さが15mm以上:サルビア、テキサスセージ、他

    2. 花冠の長さが15mm未満:S. hispanica、ペインテッドセージ、他

  2. 二年草と短命の多年草

    1. 普通、ロゼットを形成し、葉が15cm未満:S. candidissima、他

    2. 常にロゼットを形成し、葉が15cm以上:ビロードアキギリ、クラリーセージ、他

  3. 草本性多年草

    1. 開花時の草丈が1m未満
       
      1. 1 花冠の長さが15mm未満:アキノタムラソウ、S. × superba、他

      2. 2 花冠の長さが15mm以上:ソライロサルビア、他

    2. 開花時の草丈が1m以上
       
      1. 1 花冠の長さが15mm未満:ボッグセージ、S. nutans、他

      2. 2 花冠の長さが15mm以上:メドウセージ、S. castanea、他

  4. 低木と亜低木

    1. 普通、成熟時の草丈が50cm未満
       
      1. 1 葉が銀色、あるいは、灰色で有毛
         
        1. 1a 花冠の長さが25mm未満:ブルーサルビア、S. villosa、他

        2. 1b 花冠の長さが25mm以上:S. bracteata、他

      2. 2 葉が緑色で、時に有毛
         
        1. 2a 花冠の長さが25mm未満:S. lycioidesS. sonomensis

        2. 2b 花冠の長さが25mm以上:S. greggii、他

    2. 普通、成熟時の草丈が50cm以上
       
      1. 1 葉が銀色、あるいは、灰色で有毛
         
        1. 1a 花冠の長さが25mm未満:コモンセージ、S. apiana、他

        2. 1b 花冠の長さが25mm以上:S. fruticosaS. lavandulifolia、他

      2. 2 葉が緑色で、時に有毛
         
        1. 2a 花冠の長さが25mm未満:ブルーセージ、dominica、他

        2. 2b 花冠の長さが25mm以上:パイナップルセージ、メキシコサルビア、S. microphylla、他

 栽培は、種によって異なりますが、一般に日当たりと排水がよい土地を好み、夏の高温多湿に弱いそうです。低木になるような種は耐寒性があって−10℃でも耐えられるそうですが、一年草として栽培される種は凍害を受けやすいそうです。繁殖は、実生の他、低木性の種では挿し芽でも出来るそうです。


種類など
 一部の種を以下に挙げます。
・ビロードアキギリ(S. argentea L.
テキサスセージ(正名:S. coccinea Juss. ex Murray、異名:S. rosea Vahl
パイナップルセージ(S. elegans Vahl
・ブルーサルビア(別名:ケショウサルビア;S. farinacea Benth.
・メキシコサルビア(S. fulgens Cav.
・アキギリ(S. glabrescens Makino
ラベンダーセージ(S. Indigo spire’)
・アキノタムラソウ(S. japonica Thunb.
チェリーセージ(S. microphylla H. B. K.
・キバナアキギリ(S. nipponica Miq.
・オトメサルビア(S. obtusa Mart. et Galeotti
コモンセージ(S. officinalis L.
・ソライロサルビア(S. patens Cav.
メドウセージ(正名:S. pratensis L.、異名:S. bertolonii Vis.
クラリーセージ(S. sclarea L.
サルビア(S. splendens Sellow ex Roemer et Schultes
ボッグセージ(S. uliginosa Benth.
ペインテッドセージ(正名:S. viridis L.、異名:S. horminum L.


利用法など
 以下のような利用方法があるそうです。

香料

S. clevelandii(葉)、テキサスセージ(葉)、パイナップルセージ(葉)、S. dorisiana(葉)、S. lavandulifolia(オイル、葉)、クラリーセージ(葉、花、オイル)、ペインテッドセージ(種子、葉、オイル)

料理

S. dorisiana(葉)、パイナップルセージ(小枝)、S. fruticosa(葉、オイル)、コモンセージ(葉、オイル)、クラリーセージ(葉、花)

薬用

S. miltiorhiza(根)、コモンセージ(葉、オイル)、S. pomifera(葉)、クラリーセージ(種子)、ペインテッドセージ


 これらの他、過剰に使用すると幻覚を誘発する成分を含む種もあるそうです。


本棚以外の参考文献
  • 牧野富太郎.原色牧野植物大圖鑑.北隆館.1982年.

(2004.1.5.)
 
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