このページ内の文章・画像の転載を禁止します

リコリス属


このサイトで紹介している種

オーレア インカルナタ インカルナタ  
ショウキズイセン[オーレア]
aurea
インカルナタ
incarnata
ヒガンバナ[ラディアタ]
radiata
 

ヒガンバナ科Amaryllidaceae
学名Lycoris Herb.
和名ヒガンバナ属
英名 
分布東アジア
種数10〜12種
属名の性別女性

属名の由来

 古代ローマの女優であり、マルクス・アントニウス(B.C.83?〜30。ローマの雄弁家で、カエサルの部将)の愛人(?:原文は mistress)の名前に因むとも、ギリシア神話に登場する海の女神リュコリス(あるいはリコリス。綴りは同じく Lycoris)に因むと言われている。

メモ

形態、生態、栽培について
 耐寒性がある多年草です。秋に花が枯れた後に葉が出葉する秋季出葉型(ヒガンバナ、オーレア、シロバナマンジュシャゲ[アルビフロラ]など)と、冬から春にかけて出葉する春季出葉型(インカルナタ、キツネノカミソリ、ナツズイセンなど)に分類することが出来るそうですが、耐寒性は春季出葉型の方が強いと言われています。
 葉は線状、あるいは、帯状です。花序は散形花序です。花は、6枚の花被片、6つの雄蕊、雌蕊で構成されています。子房は3室で、位置は下位です。球根は鱗片葉が密生した鱗茎で、デンプンとアルカロイドを含んでいます。分枝は仮軸分枝ですが、茎軸に付く葉には、薄膜状のりん葉、同化葉(参考文献中では全周りん葉と呼ばれています)、舌状りん葉の3種類があるそうです。全周りん葉の数は種によって異なり、ヒガンバナは4.7枚、オーレアは8.2枚、キツネノカミソリは9.3枚、インカルナタは10.0枚、ナツズイセンは10.4枚だそうです。分枝は、年に一度しかしません。茎軸の一番上の節には舌状りん葉が着き、それより下には全周りん葉が着きますが、全周りん葉の腋芽は子球に発達します。子球が母球から独立して花芽を作れるようになるまでに、2〜3年かかるそうです。
 分枝と同じく、花芽の分化も年に一回だけで、地域にもよりますが、ヒガンバナでは4月前後に分化するそうです。自然条件下では秋季出葉型より春季出葉型の方が1ヶ月ほど開花が早いそうですが、これについては、前者より後者の方が花芽の発育が早いためであると考えられているようです。なお、大阪で行われたリコリス属の花芽形成について調べた一連の研究によると、以下のようなことが分かったそうです。

自然環境下での花芽の発育(1970年鱗茎植え付け、1971年調査)
 秋季出葉型
ヒガンバナ、オーレア、アルビフロラ
春季出葉型
ナツズイセン、キツネノカミソリ、インカルナタ
総包形成4月下旬(キツネノカミソリが、他の種より1〜2週間早い)
小花形成いずれの種も総苞形成の1週間後
雌ずい形成6月上旬〜6月中旬5月下旬〜6月上旬
四分子形成8月中旬6月下旬〜7月上旬
開花9月中旬8月中〜下旬

 稔性がある種は種子で繁殖できますが、ヒガンバナやインカルナタのような不稔性の種は子球で繁殖させます。鱗茎は肥沃で水はけの良い土に植えます。日当たりが良い場所を好むそうです。一度植えた後は、数年はそのままで大丈夫なようです。植え替えるときは、葉が枯れた後に鱗茎を掘り上げて、直ぐに植え付けると良いそうです。耐寒性は強いですが、秋季出葉型は、冬季に寒さ対策をすると良いそうです。


種類など
 種数は上記の通りです。図鑑に記載されていた種や変種を以下に挙げます。

・シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華;L. albiflora Koidz.
ショウキズイセン(鍾馗水仙;正名:L. aurea (L'Her.) Herb.、異名:L. africana (Lam.) M. Roem.
L. chinensis Traub
L. haywardii Traub
L. incarnata Comes ex K. Spreng.
ヒガンバナ(彼岸花;L. radiata (L'Her.) Herb.
  var. pumila hort.
・キツネノカミソリ(狐の剃刀;L. sanguinea Maxim.
  var. alba hort.
  オオキツネノカミソリ(大狐の剃刀;var. kiushiana Makino
  ムジナノカミソリ(狢の剃刀;var. koreana Nakai
L. spery
L. sprengeri Comes ex Bak.
・ナツズイセン(夏水仙;別名:ワスレグサ、マジックリリー;L. squamigera Maxim.
L. straminea Lindl.
L. traubii


本棚以外の参考文献
  • 森源治郎ら.ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)の球根植物の生育開花習性に関する研究.第1報.Lycoris属の生育開花習性.園芸学会雑誌.第45巻第4号:389〜396ページ.1977年.

(2003.12.13.)
 
HOME   植物名一覧

このページ内の文章・画像の転載を禁止します