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アスター属


このサイトで紹介している種

ミヤコワスレ      
ミヤコワスレ
savatieri
     

キク科Compositae, Asteraceae
学名Aster L.
和名シオン属
英名aster, starwort
分布アメリカ、ユーラシア、アフリカ、アジア
種数250〜500種(資料によって異なります)
属名の性別男性
属名の由来

ギリシャ語の「aster(星)」に由来し、花を星の形に見立てたことに因む。

メモ

属について
 分類に関する見解が異なり、属の範囲は明らかでないと言われています。
 冠毛の長さや有無によって、Aster属を細分する分類法があります。詳細は以下の通りです。なお、この分類法は、1937年にKitamura氏が発表したものだそうですが、オリジナルの論文(Memoirs of the College of Science, Kyoto Imperial University. Series B. 13: 337-357.)が手に入らなかったので、Ito氏らの論文を参考にしました。

Aster属(アスター属、シオン属)
冠毛の長さが2mm以上。

Kalimeris属(カリメリス属、ヨメナ属)
アスター属より冠毛の長さが短い。

Heteropappus属(ヘテロパップス属、ハマベノギク属)
筒状花果実の冠毛はアスター属と同程度、舌状花果実の冠毛はカリメリス属と同程度。

Miyamayomena属(ミヤマヨメナ属)
冠毛がない。

 しかし、cpDNAchloroplast DNA;葉緑体DNAの多型を調べたIto氏らの研究によって、同じ属にまとめられていた種同士であっても実際は遠縁であったり、アスター属以外の属の種に最も近縁の種がアスター属の種であることが明らかになったりしたそうです。このことから、冠毛の長さは変異を起こしやすい性質であり、分類の基準とするのは妥当ではない、と結論されています。そこで、このサイトでは新しい説に従って、上記の属をアスター属にまとめて扱うことにしました。冠毛の長さに代わるアスター属を細分するための新しい基準については、検討中だそうです。
 なお、園芸上のアスターは、Callistephus属に属します。


形態・栽培
 主に多年草ですが、基部が木状の種や、一、二年草の種もあるそうです。葉は互生しています。頭状花序は単生するか、花序を形成するときは散房花序か総状花序となります。舌状花は雌性で1〜2列、色は、白、桃、紫、淡青、稔性はあったり無かったりします。筒状花の花色は、黄色、紫、白です。種間交雑しやすく、分類や同定が難しいと言われています。
 水捌けが良いところを好みますが,生育期間中は十分に水分を保つようにすると良いそうです。種によって日当たりが良いところを好んだり、半日陰を好んだりするそうです。多肥は好まないそうです。増殖は株分けで行いますが、春に挿し芽をすることも出来るそうです。


種類など
 種数は上記の通りです。「園芸植物大事典」では250〜500種と幅が広いですが、属の範囲が明らかでないことを反映しているものと思われます。「最新園芸大辞典」と「世界有用植物事典」では約400種とされています。また、「The New RHS Dictionary of Gardening」や「The Plant-Book」のような海外の事典では250種と少なく見積もられています。和名が付いている種を以下に挙げます。

・ノヤマコンギク(A. ageratoides Turcz.
  センボンギク(var. microcephalus (Miq.) Ohwi
  ノコンギク(var. ovatus
    コンギク(f. hortensis
    コマチギク(f. humilis
  チョクザキヨメナ(var. tubulosus (Makino) Ohwi
・イソノギク(別名:ハマベノギク;A. asa-grayi Makino
・ヒメシオン(A. fastigiatus Fisch.
A. glehnii F. Schmidt.
  ゴマナ(var. hondoensis Kitamura
・ヤマジノギク(A. hispidus、異名:Heteropappus hispidus (Thunb.) Less.
・オオユウガギク(A. incisa、異名:Kalimeris incisa (Fisch.) DC.
・コヨメナ(A. indicus、異名:Kalimeris indica (L.) Ssc.-Bip.
・タマギク(別名:コモノギク;A. komonoensis Makino
・チョウセンヨメナ(A. koraiensis、異名:Miyamayomena koraiensis (Nakai) Kitamura
・ヒロハアメリカシオン(A. macrophyllus L.
・ネバリノギク(別名:アメリカシオン;A. novae-angliae L.
・ユウゼンギク(A. novi-belgii L.
・カンヨメナ(別名:イソカンギク;A. pesudo-asa-grayi Makino
・ユウガギク(A. pinnatifida、異名:Kalimeris pinnatifida (Maxim.) Kitamura
・テリアツバギク(A. ptarmicoides (Nees) Torr. et A. Gray
ミヤマヨメナ(別名:ミヤコワスレ、A. savatieri Makino、異名:Miyamayomena savatieri (Makino) Kitamura
・シラヤマギク(A. scaber Thunb.
・ヤマシロギク(別名:イナカギク、A. semiamplexicaulis Makino
・ダルマギク(A. spathulifolius Maxim.
・ホウキギク(A. sublatus Michx
・シオン(紫苑;A. tataricus L. f.
・ヨメナ(嫁菜;A. yomena Honda、異名:Kalimeris yomena Kitamura


本棚以外の参考文献
  • Ito, M. et al., Phylogenetic relationships of Japanese Aster (Asteraceae, Astereae) sensu lato based on chloroplast-DNA restriction site mutation. Journal of Plant Research. 111: 217-223. 1998.

(2003.12.21.)
 
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