形態・生態・栽培など
一年草〜多年草です。葉は、披針形、線形、へら形で、縁に切れ込みがありません。対生葉序(十字対生)です。花は二出集散花序を形成し、二出集散花序はさらに複総状花序を形成し、全体的には円錐花序を形成しています。花は小さく、花色は、白、赤、桃で、最近の園芸品種には黄色もあるそうです。萼は合着していて、5歯あるか5中裂しています。花弁は5枚で、八重咲きの園芸品種にはそれ以上ありますが、これは雄しべが花弁化したものです。花弁には切れ込みが無く、爪も目立つほど分化していません。雄蕊は10本で、花柱は2本です。果実は刮ハです。萼筒の基部に苞葉がないことからダイアンサス属(ナデシコ属)と区別するそうです。 一部の種の形態的特徴などは、以下の通りです。一部のデータは、地域や栽培されている環境によって異なることがあります。
繁殖は、実生、挿し芽、株分けによります。実生の場合、春播き、秋播きのいずれも可能だそうですが、一年草は秋に播種すると良いようです。直根性なので、移植を避けて直播きにすると良いそうです。株分けの場合は秋に行います。栽培されている種については、日当たりと水捌けの良い土地が向いているそうです。乾燥気味にすると良いとも言われています。属名の通り、石灰質の土壌(アルカリ土壌)を好むそうで、シュッコンカスミソウを栽培する際は、土壌のpHを6.5以上に調整する必要があるそうです。しかし、G. pacifica は酸性土壌でも生育できるそうです。生態については、各種のページをご覧下さい。
種類など
種数は上記の通りですが、図鑑やカタログに記載されていたのは以下の種でした。@印は「T&Mのカタログ(2001年版)」に記載されている種で、@印は日本でも販売されている種です。
・G. aretioides Boiss(異名:G. imbricata Rupr.)
@G. cerastiodes D. Don.
・G. dahurica Tur.
@カスミソウ(霞草;別名:ハナイトナデシコ[花糸撫子]、ムレナデシコ[群撫子];G. elegans M. Bieb.)
@G. libanotica
@G. muralis L.
・G. nana Bory et Chaub
・G. oldhamiana
・G. pacifica Komar
@シュッコンカスミソウ(宿根霞草;別名:コゴメナデシコ[小米撫子];G. paniculata L.)
・G. patrinii Ser.
・G. petraea (Baumg.) Rchb.
@G. repens L.(異名:G. dubia Willd.)
・G. rokejeka Del.
@G. silenoides
・G. struthium Loefl.
@G. viscosa
利用について
カスミソウやシュッコンカスミソウは、観賞用に栽培されたり、切り花に利用されています。 根にサポニンが含まれていて、一部の種は下剤として利用されているそうです。また、上記以外の種に含まれるサポニンに関連する研究論文が比較的多かったです。 サポニンと関係があるどうかは分かりませんが、「原色和漢薬図鑑」によると、中国の一部の地方で、G. dahurica、G. oldhamiana、G. pacificaが、「商陸」という漢方薬の一種とされているそうです。ただし、商陸は、本来はヤマゴボウの根を乾燥させたものだそうで、ギプソフィラ属のものは「山銀柴胡(さんぎんさいこ)」と呼んだ方が良いそうです。なお、本来の商陸には利水、利尿、消腫等の効果があるそうですが、多量に服用すると下痢や腹痛を起こしたり、含まれている成分は痙攣中枢を刺激する痙攣毒だそうです。 その他、「The Plant-Book」によると、G. struthium は地中海地方で石鹸として使用され、G. patrinii はロシアで銅を検出するための指標とされたり、G. rokejeka は halva(ハルバ。ナッツやゴマを蜂蜜・シロップで固めたトルコ・インドのお菓子)の材料として利用されているそうです。
本棚以外の参考文献
(2003.11.22./最新の更新:2005.5.4.)
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