このページ内の文章・画像の転載を禁止します

ノウゼンハレン属


このサイトで紹介している種

ナスタチウム カナリークリーパー    
ナスタチウム
majus
カナリークリーパー
peregrinum
   

ノウゼンハレン科Tropaeolaceae
学名Tropaeolum L.
和名ノウゼンハレン属、キンレンカ属
英名nasturtium
分布メキシコ南部〜ブラジル、パタゴニア
種数86種(資料によって異なります)
属名の性別中性

属名の由来

 学名は、トロフィー(戦勝記念品;ラテン語で「tropaeum」、ギリシア語で「tropaion」)の意味で、花と葉が、ギリシア・ローマ時代の兜と楯に似ていることに由来する。
 ノウゼンハレンは、花がノウゼンカズラに、葉がハスに似ていることに因み、キンレンカは、花の色と、ハスに似た葉に因む。

メモ

ノウゼンハレン科について
 科の説明を属の説明の中でしてしまうのは何ですが、今のところ、科の説明を作る予定はないので。
 和製の図鑑では、ノウゼンハレン科は、ノウゼンハレン属と Magallana属の2属から成ると説明されていますが、「The Plant-Book」や Sparreの論文の要約(論文検索してヒットした要約を読んだだけで、本文は手に入りませんでした)に依ると、他に Trophaeastrum属があるそうです。Trophaeastrum属は1種から成る単型属で、Magallana属は、文献によって異なりますが、1、あるいは、2種から成るそうです。


英名について
 ナスタチウムとは、アブラナ科のナスタチウム属(Nasturtium、オランダガラシ属)のことです。詳細は、ナスタチウムのページをご覧下さい。


形態・生態・栽培など
 一年草か、多年草です。一年生の種は耐寒性が弱いそうですが、多年生の種は耐寒性があるそうです。蔓性ですが、匍匐性の種もあるようです。蔓性の種は、支えとなるような物に葉柄を絡ませて伸長するよじ登り植物だそうです。葉は互生するそうです。花は、葉腋に一つだけ着くそうです。萼は基部が合着し、5裂していて、距があります。花弁は通常5枚です。「The New RHS Dictionary of Gardening」と「最新園芸大辞典」では、「上の2枚の花弁は、残りの3枚と異なり小さい」と説明されていますが、カナリークリーパーのように、逆の場合もあるので、この説明は適切と言えるかどうか、疑問があります。雄蕊は8本ですが、分化した段階では10本のところ、発達の途中で2本がなくなってしまうそうです。子房は上位で、3室から成ります。植物体に、マスタードオイル(glucosinolates)が含まれているのが特徴だそうです。
 一般に、日当たりが良いところを好み、土壌については、水捌けが良く、且つ、湿度を保てる物が良いそうです。肥料については、多くやり過ぎると、葉が生い茂って花着きが悪くなることから、控えめが良いと言われているようです。他は、種によって異なるそうなので、ここでは省略します。


種類など
 上記の種数は、Sparreの論文の要約に依ります。「園芸植物大事典」や海外の文献では、これに近い種数とされています。「最新園芸大辞典」、「原色・花卉園芸大事典」、「世界有用植物事典」のような和製のやや古めの図鑑では、40〜45種と紹介されていることがあります。いくつかの種を以下に挙げます。

T. azureum Miers
ナスタチウム(T. majus L.
・ヒメキンレンカ(T. minus L.
カナリークリーパー(T. peregrinum L.
T. speciosum Popp. et Endl.
T. tricolorum Sw.
・タマノウゼンハレン(ショクヨウキュウコンキンレンカ[食用球根金蓮花];T. tuberosum Ruiz et Pav.

 余談ですが、上記の種のうち、T. azureum、カナリークリーパー、T. speciosumT. tricolor のタネは、イギリスの Thompson & Morgan 社から入手できるようです。
 なお、Sparreの論文の要約によると、ノウゼンハレン属は、更に10の節に分類することが出来るようです。何を基準に分類し、どの種がどの節に分類されるかについては、要約には記されていませんでした。
 また、Hethelyiの論文の要約によると、種子に含まれている脂肪酸(エイコサモノエニック酸、エルカ酸、オレイン酸)の組成によって、種を区別できることが出来るそうです。


本棚以外の参考文献
  • Sparre, B., et al. A taxonomic revision of the Tropaeolaceae. Opera Botanica. 108: 5-139. 1991.(要約のみ参考)

  • Decraene, L. P. R., et al. Floral developmental evidence for the systematic relationships of Tropaeolum (Tropaeolaceae). Annals of Botany. 88: 879-892. 2001.

  • 塚本洋太郎監修.原色・花卉園芸大事典.養賢堂.1984年.

  • 堀田満ら編集.世界有用植物事典.平凡社.1989年.

  • Hethelyi, I. et al. GC-MS and HPLC study on the seed oil of Tropaeolum species. Herba Hungarica. 25: 129-140. 1986.(要約のみ参考)

(2003.9.21.)
 
HOME   植物名一覧

このページ内の文章・画像の転載を禁止します