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クレマチス属


このサイトで紹介している種

ラヌギノサ モンタナ カザグルマ タングチカ
ラヌギノサ
lanuginosa
モンタナ
montana
パテンス[カザグルマ]
patens
タングチカ
tangutica
 
園芸品種      
園芸品種
cultivars
     

キンポウゲ科Ranunculaceae
学名Clematis L.
和名センニンソウ属
英名virgin's bower, leather flower, vase vine
分布世界中の温帯、熱帯アフリカの山地
種数約200〜295種(資料によって異なります)
属名の性別女性

属名の由来

 ギリシャ語の「clema(文献によっては klema;巻きひげ、蔓)」で、ディオスコリデス(Dioscorides;1世紀のギリシャの医師)がよじ登り植物に用いたギリシャ古名に由来する。

花言葉精神的な美しさ、貧弱
メモ

名前について
 上記以外にも色々な名称があるようです。
love(愛):絡みつく性質によるそうです。
beggar's plant(乞食の植物):クレマチスの樹液を傷口に塗って腫れ物を作り、憐れみを誘ったことによるそうです。
traveler's joy(旅人の喜び):宿屋に植えられていて、日陰を作って涼を与えたとも、その宿屋で安全な一夜を過ごせたからとも言われています。
 その他、smoking cane(タバコ用の茎)、devil's twine(悪魔のより糸)、Bohemian plant(ボヘミアの植物)、devil's cut、その他の名前があるそうです。

 クレマチスの別名がカザグルマであるとか、テッセンであるとかと解説している図鑑がありますが、これは誤解です。カザグルマも、テッセンも、それぞれクレマチス属の一つの種(しゅ、species)であって、カザグルマと呼べるのは C. patens だけですし、テッセンと呼べるのは C. florida だけです。「属」や「種」などの分類や、「種」と「品種(cultivar)」の区別くらい、しっかりして貰いたいものです。


形態・生態・分類など
 一般に、寒さに強く、夏の高温には弱いと言われているようです。多年生で、多くは蔓性ですが、直立性の種もあるそうです。また、茎の木化の程度は、草本、半木本、木本と、種によって異なるそうです。成長した株では葉は対生だそうですが、幼苗の時は互生する種もあるそうです。葉は1〜2回羽状複葉だそうですが、単葉の種もあるそうです。葉柄には物に巻き付く性質があります。花は単生する種と花序を作る種があるそうです。萼片は4、6、8枚のいずれかだそうです。萼片の開き方は、風車状タイプ(平開)と釣鐘状タイプ(直立、斜上)があるそうです。花弁はある種とない種があるそうです。雄蕊と雌蕊は多数あるそうです。果実は痩果で、花柱が伸長した羽毛状の毛を付けます。痩果は、頭状の果実群を形成しています(タングチカ種参照)。
 「園芸植物大事典」によると、花の咲き方(A:前年の枝の葉腋に生じる、B:新しく生じた枝の先端か葉腋に生じる)、雄蕊の毛の有無、花弁の有無、葉身の鋸歯の有無、茎の形態、萼片の着き方によって以下の10の節(section)に分類されるそうです。ただし、DNAを解析した最近の研究の結果は、この分類と一致しないことがあったそうです。

花の咲き方雄蕊の毛花弁葉身の鋸歯萼片
ハンショウヅル節
sect. Bebaeanthera
A   直立
シロバナハンショウヅル節
sect. Cheiropsis
A   平開または
斜上
ミヤマハンショウヅル節
sect. Atragene
B   
クロバナハンショウヅル節
sect. Viorna
B  
クサボタン節
sect. Tubulosa
B直立 
タカネハンショウヅル節
sect. Campanella
B
長毛・密生
蔓性直立
オオワクノテ節
sect. Meclatis
B
短毛・疎生
蔓性平開または
斜上
カザグルマ節
sect. Viticella
B・単生    
ボタンヅル節
sect. Clematis
B・花序   
センニンソウ節
sect. Flammula
B・花序   

 繁殖は、実生、株分け、挿し木、接ぎ木等によります。移植や苗の植え付けは気温が低くなってからか、春先に行うと良いそうです。過湿、乾燥に弱く、半日陰が適していると言われているようです。生育期間中(5〜8月)は剪定を行うと良いそうですが、前年の枝に花を咲かせる種もあるので、種によって剪定の度合いを調整すると良いそうです。気温が低くなり休眠に入った後は、ある一定の低温に遭遇した後に休眠が打破されるそうです。

種類など
 種数は上記の通りです。日本には14〜25種があるそうです。原種から作られた交配種が何種かあるそうです。園芸品種の育種親となった主要な原種等(@)や、和名が付いている種は以下の通りです。

・ボタンヅル(牡丹蔓;C. apiifolia DC.、ボタンヅル節)
@テッセン(鉄線;C. florida Thunb.、カザグルマ節)
・クロバナハンショウヅル(黒花半鐘蔓;C. fusca Turcz.、クロバナハンショウヅル節)
C. × jackmanii T. MooreC. lanuginosa を種子親、C. viticella を花粉親とした交雑種)
・ハンショウヅル(半鐘蔓;C. japonica Thunb.、ハンショウヅル節)
C. lanuginosa Lindl.(カザグルマ節)
・タカネハンショウヅル(C. lasiandra Maxim.、タカネハンショウヅル節)
C. montana Buch.-Ham. ex DC.(ハンショウヅル節)
・ミヤマハンショウヅル(C. ochtensis (Pall.) Poir.、ミヤマハンショウヅル節)
カザグルマ(風車;C. patens Morr. et Decne.、カザグルマ節)
・オオワクノテ(C. serratifolia Rehd.、オオワクノテ節)
・クサボタン(草牡丹;C. stans Sieb. et Zucc.、クサボタン節)
C. tangutica (Maxim.) Korsh.(オオワクノテ節)
・センニンソウ(仙人草;C. terniflora DC.、センニンソウ節)
@ベニバナハンショウヅル(紅花半鐘蔓;C. texensis Buckl.、クロバナハンショウヅル節)
・トリガタハンショウヅル(C. tosaensis Makino、ハンショウヅル節)
C. viticella L.(カザグルマ節)
・シロバナハンショウヅル(白花半鐘蔓;C. williamsii A. Gray、シロバナハンショウヅル節)
園芸品種(C. cultivars


本棚以外の参考文献
  • 塚本洋太郎.原色園芸植物図鑑[II]宿根草編1.保育社.1972年.

  • C. M. スキナー著(垂水雄二ら訳).花の神話と伝説.八坂書房.1985年.

  • 細木高志ら.ロングプライマーを用いた場合のクレマチスのRAPD分析.園芸学会雑誌.第70巻別冊1:297ページ.2001年.

  • 細木高志ら.クレマチス属のRAPD分析.園芸学会雑誌.第69巻別冊2:419ページ.2000年.

(2003.8.4./最新の更新:2004.5.15.)
 
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