名前など
「原色牧野植物大圖鑑」では、Veronica属の和名はクガイソウ属とされています。しかし、現在は、クガイソウ属は Veronicastrum属の和名とされています。クワガタソウ属とクガイソウ属は果実の形で区別され、クワガタソウ属は扁平だそうです。いつからそのように区別されるようになったのかは分かりません。 英名の speedwell は「さようなら(good-bye)」という意味ですが、これは、花を摘むと花冠が直ぐに落ちてしまうことによるそうです。
形態・生態・栽培など
一年草、二年草、多年草の種があります。多年草の種は耐寒性が強いそうです。 茎は、直立するものや地を這うものがあります。葉は単葉で、縁に鋸歯があるものとないものがあります。葉柄があることがあるそうです。葉序は、対生する種、互生する種、基部では対生し、花を着ける上部では互生する種があるそうです。萼は4〜5つに深裂しますが、各裂片の大きさは等しくないことが多いようです。花は、花冠が4裂していますが、基部で合着している合弁花です。左右相称花で、多くは、上側の裂片が大きく、下側の裂片が小さいです。おしべは二つです。花序は、花が葉腋に単生し、頂生や腋生の総状花序が形成されるそうです。果実は刮ハ(複数の心皮から出来ている果実)で、平べったい形をしており、先が凹んでいます。種子数は多いそうです。 ボーダーやロックガーデンに向いていて、高温を出来るだけ避け、水捌けが良い土で栽培すれば、比較的簡単に育てることが出来るそうです。日当たりが良いところを好みます。繁殖は、播種、挿し木、株分けで出来るそうです。播種は、秋でも春でも出来るようです。株分けは、春先に行うと良いようです。
種類など
種数は上記の通りで、日本には約20種があると言われていますが、変種もあるようです。園芸的に利用されているもの(@)や和名が付いているものは以下の通りです。
・ヒメルリトラノオ(V. alpina L.)
・タチイヌノフグリ(V. arvensis L.)
@V. austriaca L.
・イヌノフグリ(V. didyma Tenore var. lilacina (Hara) Yamazaki)
@V. gentianoides Vahl
・キクバトラノオ(V. grandis Fisch.)
・フラサバソウ(V. hederaefolia L.)
・ツクシトラノオ(別名:ヒロハトラノオ、V. kiusiana Furumi)
ヤマルリトラノオ(別名:ヒロハヤマトラノオ、var. japonica (Miq.) Yamazaki)
エチゴトラノオ(var. maritima (Nakai) Yamazaki)
エゾルリトラノオ(var. miyabei (Nakai et Honda) Yamazaki)
@セイヨウトラノオ(V. longifolia L.)
・クワガタソウ(V. miqueliana Nakai)
・ヒメクワガタ(V. nipponica Makino)
シナノヒメクワガタ(var. shinano-alpina Hara)
・グンバイヅル(別名:マルバクワガタ、V. onoei Franch. et Sav.)
@トウテイラン(V. ornata Monjuschko)
@V. peduncularis Bieb.
・オオイヌノフグリ(V. persica Poir.)
・ハイクワガタ(別名:ノボリクワガタ、V. prostrata L.)
・ヒメハイクワガタ(V. repens DC.)
・ヤマトラノオ(V. rotunda Nakai var. subinegra (Nakai) Yamazaki)
・キクバクワガタ(V. schmidtiana Regel)
ダイセンクワガタ(var. daisensis Yamazaki)
ミヤマクワガタ(var. senanensis Ohwi)
・トラノオノキ(V. speciosa R. Cunn.)
@V. spicata L.
・ルリトラノオ(V. subsessilis Carriere.)
・テングクワガタ(V. tenella Allioni)
なお、「農業技術大系・花卉編第9巻」によると、「園芸的に利用されるのは V. longifoliaで、単にベロニカと総称されることがある」そうです。
本棚以外の参考文献
(2003.5.11.)
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