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インパチェンス属


このサイトで紹介している種

ホウセンカ ニューギニア・インパチェンス ウォレリアナ  
ホウセンカ
balsamina
ニューギニア・インパチェンス
hawkeri
インパチェンス
[アフリカホウセンカ]
walleriana
 

ツリフネソウ科Balsaminaceae
学名Impatiens L.
和名ツリフネソウ属(ホウセンカ属)
英名Patience Plant, Balsam, Busy Lizzie, Sultana, Jewel-weed, Touch-me-not
分布南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドを除く全世界
種数500〜850(文献によって違います)
属名の性別女性

属名の由来

ラテン語の「impatiens(耐えない)」に由来するが、種子が成熟すると、果実(刮ハ)が弾けて種子を飛散させることに因む。

メモ

名前について
 和名については、「園芸植物大事典」ではツリフネソウ属(別名ホウセンカ属)、「最新園芸大辞典」ではホウセンカ属となっていましたが、このページでは「園芸植物大事典」に従いました。
 英名に「touch-me-not(私に触れないで)」という物がありますが、オジギソウにも同じ英名が付いています。海外では、植物は学名で呼んでいるという噂話を聞いたことがありますが、いざという時は、どうやって区別するのでしょうか? また、英名の「Patience Plant」は、「忍耐強い植物」を意味しますが、属名と逆の命名です。これの由来は分かりませんでした。「Balsam」は、「ホウセンカ」を表す他、「苦痛を和らげるもの、慰め」という意味もあるようです。


生態・形態・栽培など
ホウセンカの距

 一年草、あるいは、多年草で、草本の種や亜低木の種があります。茎は多汁質です。花は葉腋に着きます。花の構造ですが、萼片は普通は3枚、稀に5枚あり、一番下の萼片は、通常、他の萼片と比べて大きく、後方に伸びて、距を形成します。写真は、ホウセンカを横から撮影したものですが、左側に向かって距が伸びているのがお分かり頂けるかと思います。花弁は5枚で、上の1枚は独立した旗弁となっていて、下の4枚は合着して2裂した1対の翼弁になっています。

雄しべは5つで、葯は合着して、子房を覆うキャップを形成しています。子房は上位で、5室に分かれています。属名の由来通り、種子が入っている刮ハが弾けて、種子を飛散させます。種子を飛ばすメカニズムは、水が溜まって、その膨圧で飛ばすそうです。

 寒さに弱い種を栽培する時は、最低温度を10℃に保つ必要があるそうです。耐寒性が強いものでは、−15℃まで耐えられる種もあるそうです。なお、園芸種(ホウセンカ、インパチェンス、ニューギニア・インパチェンス)を除けば、種子の寿命は短く、採取したら可能な限り早く播種すると良いそうです。土は肥沃でない物が向いているそうです。直射日光を避けるようにします。乾燥を嫌うので、灌水は十分にします。


種類など
 上記の通り、種数が500〜850と多く、Acaulimpatiens亜属(葉が全て根出する)、Impatiens亜属(茎葉を生じる)のような亜属に分けることもあるようです。日本にも、ツリフネソウ、ハガクレツリフネ、キツリフネの3種が自生しているそうです。それらと園芸種の学名は以下の通りです。

ホウセンカ(I. balsamina
・ツリフネソウ(正名:I. textorii、異名:I. japonica
ニューギニア・インパチェンス(I. hawkeri
・ハガクレツリフネ(I. hypophylla
・キツリフネ(I. noli-tangere
アフリカホウセンカ(インパチェンス;I. walleriana

 園芸植物として利用されているのは、ホウセンカ、アフリカホウセンカ、ニューギニア・インパチェンス等の一部の種や園芸品種に限られていて、単にインパチェンスと言ったら、一般には、アフリカホウセンカ(I. walleriana;ウォレリアナ種)のことを指します。参考までに、園芸種として利用されている種の違いには、次のようなことが挙げられます(文献によって違いがありますが)。

 ホウセンカアフリカホウセンカニューギニア・インパチェンス
原種の
原産地
インド、中国南部タンザニア〜モザンビークニューギニア東部〜ソロモン島
染色体数2n=142n=162n=32
草丈30〜70cm30〜60cm30〜100cm
写真は準備中
その他種子の全面に粒状突起がある  

 500〜850種あるうちの20種についてだけですが、染色体数や交雑が出来るか出来ないか検討した研究があります。この研究では、調査された20種は、アフリカ産、インド産、ニューギニア−インドネシア(ジャワ、セレベス[スラウェシ]島)産の3つグループに分けられていましたが、染色体数は、アフリカ産の種はx=8、インド産の種の中はx=7、9、ニューギニア産の種はx=8だったそうです。例外的に、セレベス島産の種は、x=4(2n=8)だったそうです。進化的観点からは、ニューギニア−インドネシア産の種は、他の地域原産の種(実験に使われた種に限ります)より新しいと考えられたそうです。また、地域が異なると形態的特徴も異なり、同じ地域産の種間交雑は一部の種で出来たそうですが、異なる地域産の種同士の交雑は出来なかったそうです。参考にした論文はいささか古く、種数が少ないので、現在は、例外も見つかっているかもしれません。ご了承下さい。


本棚以外の参考文献
  • Arisumi, T. et al. The New Guinea impatiens. HortScience. 11: 2. 1976.

  • Arisumi, T. Chromosome numbers and comparative breeding behavior of certain Impatiens from Africa, India, and New Guinea. Journal of the American Society for Horticultural Science. 105: 99-102. 1980.

(2003.2.8./最新の更新:2007.2.27.)
 
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