メモ |
生態・形態・栽培など
耐寒性があり、多年生です。立性と匍匐性に大別できます。芳香があります。萼は筒状で大きさが揃っておらず、上唇は3裂し、下唇は中裂して、円筒状か釣鐘状です。雄蕊は4つで、雌蕊より先に成熟します(雄蕊先熟)。オレガノと似ていますが、葉が小さいことと、萼片の大きさが揃っていないことから区別しているようです。
多年草で耐寒性があり、−10℃まで耐えられるそうですが、レモンタイム、コモンタイムなどの一部の種は、−15℃まで耐えることが出来るそうです。また、積雪が少ない地域では、霜害の危険があるそうです。冬の湿気を嫌うそうで、葉が濡れた地面に着かないようにするような対策が必要だと言われています。 日当たり・排水が良く、石灰質の土壌を好むそうです。湿潤な地帯では株の成長が遅れ、精油の量が少なくなるそうです。花が終わった後は、株の勢いや草姿をコンパクトに保つために、先端を刈り込むと良いそうです。株分け、挿し木、実生によって増やすことが出来ます。挿し木は春か夏、播種は春に行うと良いようです。 先述の通り多年草ですが、コモンタイムを調理に用いる場合は、一年草として扱うのが良いそうです。
分布・種類など
ティムス属の分布は上記の通りですが、もう少し細かく見ると、南部ヨーロッパ、北アフリカの半乾燥地帯〜エチオピア高原に自生しているそうです。北限は、グリーンランド、シベリアの北極地方で、後述しますが、日本にも、イブキジャコウソウ1種が自生しています。
種数は上記の通りですが、資料によって10倍の差があります。参考までに、主な図鑑等での種数は以下の通りでしたが、傾向としては、新しい資料は、350種としているようです(下ほど新しい図書です)。
・最新園芸大辞典…50種
・世界有用植物事典…35種
・園芸植物大事典…35種
・The Plant-Book: A portable dictionary of the vascular plants- Second Edition…350種
・The New RHS Dictionary of Gardening…350種
・ハーブ スパイス館…350種
主な種ですが、食用・薬用として広く用いられている種として、
・レモンタイム(T. × citriodorus)
・ラージタイム(T. pulegioides、英名:Large Thyme, Broad-leaved Thyme)
・ワイルドタイム(T. serphyllum、和名:ヨウシュイブキジャコウソウ、英名:Wild Thyme, Creeping Thyme)
・スパニッシュ・ソース・タイム(T. zygis)
・コモンタイム(T. vulgaris)
などがあるそうです。また、日本原産のイブキジャコウソウ(伊吹麝香草;ヨウシュイブキジャコウソウの亜種で、T. serphyllum subsp. quinquecostatus、異名:T. quinquecostatus)が、国内では、北海道、本州、九州の岩場や海岸、国外では東アジアに自生しているそうです。なお、イブキジャコウソウの「伊吹」は、滋賀県の伊吹山に多く自生していることに因み、利用価値については、含まれている精油成分が少ないことから、あまりないそうです。
成分・利用法など
強い香りあり、料理の香り付けに用いますが、薬用や養蜂植物としても重要だそうです。コモンタイムは料理・薬用、レモンタイムは香味料、ワイルドタイムは薬用に利用できるそうです。特に、コモンタイムは、月桂樹やパセリとともに、ブーケガルニの材料になるそうです。 主成分として、チモール(thymol)を含んでいて、脱臭、殺菌などの効果があり、うがい薬や歯磨き粉として利用できるそうです。また、エジプトでは防腐用としても用いたそうです。
本棚以外の参考文献
Letchamo, W. et al. Photosynthetic potential of Thymus vulgaris selections under two light regimes and three soil water levels. Scientia Horticulturae. 62: 89-101. 1995.(イントロダクションのみ引用)
木島正夫.タイム.世界の植物.325ページ.朝日新聞社.1976年.
堀田満ら編集.世界有用植物事典.平凡社.1989年.
(2003.1.26.)
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