形態など
多年生です。多肉質で、草本、低木、蔓性の種があります。根は、繊根、球根、根茎のいずれかだそうです。葉は左右で大きさが異なり、「elephanta's ear(ゾウの耳)」と称されることがあるそうです。また、様々な色があるころから、観葉を目的として栽培されることがあります。なお、葉序は互生葉序です。托葉は2枚あります。花序は、頂生か腋生で、集散か総状です。花は独特な形をしているので、見れば、ベゴニアの仲間ということが分かると思います。雌雄異花で雄花と雌花があり、一つの花序の中に雄花と雌花が含まれます。花被片は、雄花では2〜4枚、雌花では2〜6枚で、このうちの2枚は萼片に相当する物(外花被片)で、残りの花弁に相当する物(内花被片)がないことがあるそうです。外花被片と内花被片は大きさが異なり、外花被片の方が大きいです。花色は、赤、ピンク、白、黄〜オレンジで、二色のこともあるそうです。雄花の形態は、雄しべは多数で、花糸は離生しているか基部で合着して筒を形成しているそうです。葯は黄色です。雌花の形態は、花柱は3本で、離生しているか基部で合着していて、柱頭は分岐したり捻れたりしています。子房は下位で、果実は胞背裂開刮ハで、縦方向に伸びる突起(翼[よく])があります。雄花と雌花は大きさが異なることがあるそうですが、そのような場合でも、花色は同じだそうです。
分類について
1.園芸的分類(日本ベゴニア協会による)
園芸上の分類に関して、「農業技術大系・花卉編9・宿根草」によると、根や茎の形態や交配上の親種などに基づいて、日本ベゴニア協会によって、以下の8つの群(グループ)に分類されているそうです(原文のスペルミスと思われる単語は、修正しています)。
- 木立性ベゴニア(erect stemmed Begonia)
- 矢岳型(cane type)
- 叢生型(shrub type)
- 多肉茎型(thick stemmed type)
- つる性型(trailing type)
根茎性ベゴニア(rhizomatous Begonia)
球根性ベゴニア(tuberous Begonia)
球根ベゴニア(tuber-hybrida)
レックスベゴニア(rex-cv.)
センパフローレンス(semperflorens)
冬咲きベゴニア(Begonia cheimantha)
エラチオールベゴニア(Begonia hiemalis)
上記の分類法は1978年に発表されたそうで、オリジナルはアメリカベゴニア協会が考案した物だそうです。これに代わる分類法も考案されていますが、ここでは省略します。 エラチオールベゴニアの別名としてリーガル・ベゴニア(Rieger begonias、あるいは、リーガース・ベゴニア[Riegers begonias])という物がありますが、これは、エラチオールベゴニアを基に、ドイツのオットー・リーガー(Otto Rieger)氏が作出した品種群のことだそうです。 分類法は他にもありますが、このサイトでは、この日本ベゴニア協会の分類に従うことにします。なお、栽培については、上記の群(グループ)によって異なることから、各群(グループ)の解説のページで紹介することにしましたので、そちらを参考にして下さい。
2.園芸品種の分類(RHS による)
属のページで解説するのは違和感がありますが、「The New RHS Dictionary of Gardening」では、園芸品種を以下のように分類しています。上記の日本ベゴニア協会の分類と名前が類似しているグループがありますが、同じ内容かどうかは分かりません。なお、この分類は、葉の形状、花の咲き方などによって更に細分されるようです。
Cane-like(矢竹型)
Shrub-like(叢生型)
Thick-stemmed(多肉茎型)
Semperflorens(センパフローレンス)
Rhizomatous(根茎性)
Rex-cultorum(レックスベゴニア)
Tuberous(球根性ベゴニア)
Trailing scandent(蔓性型)
3.栽培上の分類(RHS による)
「The New RHS Dictionary of Gardening」では、栽培を目的とする場合、成長習性に基づいて、以下の6つのグループに分類するのが良いだろうとされています。各グループの栽培方法については、省略します。
Fibrous-rooted(繊根性) B. semperflorens とこれに由来する種・後代など、B. scharffii、metallica、B. peltata、等
Cane-stemmed(木立性) B.‘Lucerna’、B. albo-picta、等
Tuberous(球根性) B. gracilis、B. sutherlandii、B. picta、等
Rhizomatous(根茎性) B. heracleifolia、B. bowerae、B. rex とこれに由来する園芸品種、等
Rieger begonias(リーガル・ベゴニア) B. socotrana
Miscellaneous(適切な訳が出来ませんでした。上記の分類に入らない種だそうです。) B. vitifolia、B. wollnyii、B. ludwigii、等
種類
種数は、以前は2000種と言われていたようですが、「農業技術大系・花卉編9・宿根草」によると、一つの種に複数の学名が付けられていたことがあったことから、実際には1000種ほどというのが定説になっているそうです。「The New RHS Dictionary of Gardening」や「The Plant-Book」のような海外の図鑑などでは、約900種とされています。和名が付いている種やグループを以下に挙げます。
・クリスマス・ベゴニア(別名:ハナベゴニア、冬咲きベゴニア、ローレーン系ベゴニア;B. × cheimantha T. H. Everett ex C. Web.)
・シュウカイドウ(別名:ヨウラクソウ;B. evansiana Andr.)
・コバノシダレベゴニア(B. foliosa H. B. K.)
・エラチオール・ベゴニア(正名:B. × hiemalis Fotsch.、異名:B. × elatior hort.)
・オオバベゴニア(B. rex Putz.)
・レックス・ベゴニア(B. rex-cultorum L. H. Bailey)
・ヒメベゴニア(正名:B. schmidtiana Regel、異名:B. schmidtii hort. Haage et Schmidt)
・四季咲きベゴニア(B. × semperflorens-cultorum hort.)
・ハスノハベゴニア(B. socotrana Hook. f.)
・球根ベゴニア(B. × tuberhybrida Voss)
本棚以外の参考文献
(2002.11.23./最新の更新:2007.3.4.)
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