Master of ORION II リプレイ

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★プロローグ

 遥か昔。銀河にはオリオンとアンタレス、2つの種族が勢力を2分していた。
 叡智に長けるオリオン人は、破壊と殺戮を続けるアンタレス人を人工空間へ封
じ込めた。
 その後、オリオン人は謎の滅亡を遂げる。自らの叡智の証を銀河に残したま
ま………。
 そして、銀河には何万年の歳月が流れた。

★皇帝マジーム就任

・地球帝国

 人口の爆発が限界に達すると同時に、地球人類は星間ドライブを開発した。
 「他星系への移民」を技術力と強権で押し切った「マジーム」が統一王朝を設
立。マジームは「地球帝国」の初代皇帝に就任する。
 皇帝は威信にかけて、星間航行可能な大型移民船と護衛船を建造させる。
 露払いを勤める護衛船は歓声の中、他星系への航行を開始した。
 しかし、最新鋭の技術で作られた宇宙船も、銀河の中では荒波にもまれる木っ
端にも等しいことは、まだ誰も気付いていなかった………。


・他星系へ 〜海の惑星・忘れられた惑星

 数年後、4パーセク先、黄色恒星の光る星系に、護衛船「千年号」は到着した。
 そこには、青く美しい海洋惑星が存在した。
 地球は歓喜に包まれた。移民団はさっそく移民を開始した。
 皇帝は青く光る惑星を見て、そこを星系「海皇」と名付けた。

 もう一方の護衛船「万年号」もその1年後に、他の星系に到着する。
 驚く無かれ、そこにも地球型の惑星が存在した。
 さらに驚いたことに「万年号」のクルーが惑星に降り立つと、「地球人」が存
在しているではないか。
 話を聞くと、数十年前、星間飛行宇宙船の試作機で遭難したクルーの生き残り
と言う。
 彼らは故郷の惑星と共に生きることを選ぶ。
 その星系の名は「セラ」。それは彼らの祖先が名付けたものだそうだ。
 地球帝国は、その星系の名前を正式に登録した。

 「万年号」はセラの人間から情報を得て、隣り(といっても5パーセクはある
が)の星系「フェリス」へと向かう。 スペクトル解析によると地球型の惑星が
幾つも存在する可能性があるという。

 一方「千年号」は、白色恒星光る星系に向かい、鉱物資源豊かな惑星を発見す
る。 ただ、空気もなく高重力の為、地球人の移民は困難と思われるが、太陽系
の外惑星をも克服した科学力をもってすれば、居住は可能であろう。


・宇宙生物あらわる

 「万年号」が星系「フェリス」に到着。そこは2つの地球型惑星と氷に覆われ
ているが居住可能な惑星が存在した。
 そして、惑星上には先住民が生活していたのだ。
 その情報に驚く地球。
 「万年号」からの連絡が、突如途絶えた。

 通信が途絶える寸前の映像を解析した科学者は驚愕した。
 「万年号」に襲いかからんとする宇宙生物を映像は捉えていた。しかもあきら
かにそれは、炭素型の有機生命体である。
 過酷という言葉では表せないほどの環境………宇宙空間に生物が存在していたこ
とでうけた衝撃も大きかったが、それよりも、地球の科学の粋を集めた宇宙船が、
いともあっさりと破壊されたことの衝撃の方が科学者達をうちのめした。

 皇帝は、早急に新型艦の開発と製造を進めることを命令した。


★異種族「ノーラム」との遭遇

・亜空間通信、はいる

 ある日、亜空間通信機に見慣れない波長のエネルギーが飛び込んできた。
 予測していた、異種族との遭遇。

 科学者と星系コンピュータはフル回転して未知の波長を解析し、亜空間通信機
の波長規格にあわせた。
 不思議なことに、1日もしないうちに受信可能になる。地球の通信法と似たパ
ターンを使用しているらしい。

 亜空間フィールドに、解析された映像と音声が「映る」。
 そこには、炭素型有機生物、紫の肌で大きな顎、地球人に似ているといっても
過言ではない体躯が映し出された。 翻訳機も難なく「彼」の言葉を翻訳する。
 言葉も地球のものと体系が似ているのだ。

 こんな時ではあるが、古代銀河統一種族………「オリオン」の存在を、科学者達
は意識せざるを得なくなっていた。


・ノーラム

 「彼」(彼女?)の種族は「ノーラム」。
 地球帝国と同じように、他星系への移民を押し進めているようだ。
 何回かの通信で、思考や文化も比較的、地球人に近いことがわかった。(と、
いうより、ほぼ地球人のようであった)

 まず彼らと交易を結ぶ。 統一貨幣は存在しないが、資源の物々交換により交
易を行った。
 ノーラムはかなりの取引上手とわかる。

 また、ノーラム帝国の科学力、特に造船技術や兵器に関しては、悔しいかな、
地球帝国よりも一歩進んでいる。
 ただ、惑星開発の技術に関しては、地球帝国が抜きんでている。
 外交交渉により、何回かの技術交換をした後、地球帝国はノーラムと共同技術
開発協定を結んだのであった。

 地球人に、友人が出来たのだ。


★帝国艦隊

・新型艦「高尾」就航

 ノーラムの技術の助けもあり、地球帝国の技術革新はめざましいものがあった。
「フュージョン理論」を手に入れた科学者は「フュージョン・ビーム」を完成。
レーザー砲の3倍は威力のあるこの兵器を、新型艦に搭載することを決定した。

 しばらくは、従来の護衛艦にフュージョン砲とミサイルを搭載した「隼」クラ
スを、星系の防衛に配備していた。
 数年後、フュージョン砲3門と核ミサイル5門で武装した「巡洋艦」を2隻就
航させ、「高尾」クラスと命名する。
 同時に、さらに破壊力を高めた大型艦の設計も行う。


・帝国艦隊

 その数年後、帝国は新型戦艦を就航させ、「長門」クラスと命名する。
 さらには、宇宙戦闘機「インターセプター」を12機搭載した小型高速空母
「飛龍」も就航する。

 帝国の偉容は高まり、星系侵犯を行い地球の勢力内に触手を伸ばし始めたノー
ラムもおいそれと手が出せなくなった。
 時折、通信で「友好の確認」を入れてくる。

 しかし、ここに新たなる敵が現れた。
  「艦隊維持費」である。
 艦隊の維持費が年々増加し、国民の生活にも負担を強いるようになったのだ。
 帝国は艦隊の整理を余儀なくされた。
 やむなく、ベテラン海兵隊の乗り組む護衛艦「隼」2隻を廃棄。太陽系軌道に
いる探査船数隻も廃棄する。

 それでも艦隊は帝国の収益を食い尽くし、数十年にわたる赤字財政が帝国に訪
れた。


・新たなる星系へ

 まずは収益を増やさねば、銀河帝国は破綻する。皇帝マジームは経済改革に着
手した。

 母星「地球」と「海皇」星系を一大生産地から大交易星系に変更。
 大量の移民船団を建造し、鉱物資源の豊かな星系への大量移住。
 税率のアップ

 皇帝の強権を発動して、6年でこの改革を実施。
 新植民地からの鉱物資源による収入が大きく、10年後あたりから赤字は年々
減り、20年後、財政は黒字に転換した。
 艦隊の敵は「苦難の海」では無かったのである。


★サイバネティクス人種「メックラー」

・メックラー

 経済改革と共に、5つの星系を手中に収めた地球帝国。その間にも、別の種族
との接触があった。

 彼らは「メックラー」と名乗っていた。
 全てのメックラーは、自らの脆弱な体躯をサイバネティクス技術により強化し
ている。
(当初、外交官は、メックラーの本体を身体器官の一部と勘違いしていた)
 そのせいもあるのか、メックラーは謙虚さと傲慢さ、気弱さと頑固さの二面性
を併せ持つ、外交官泣かせの種族であった。

 ただ、幸いなことに拡張主義ではなく、技術開発を優先する主義らしい。
 即、同盟を申し入れてきた。 どうやら、こちらの軍事力をだいぶアテにして
いる口振りだ。
 彼らの技術生産力と、彼らの持つ、全ての星系を網羅した「大銀河地図」の魅
力もなかなか捨て難く、地球帝国はメックラーとの同盟を締結した。

・メックラーとノーラム

 ある日、メックラーの通信が入る。
 「無礼で狡猾で野心的な」ノーラムを、共同で滅ぼそうと言う。
 彼らは数年に渡る戦争を繰り広げているらしい。

 しかし、二十年近くも、交易、共同開発、に助けられた盟友に銃を向けること
は、「強権」と言われる地球帝国でもさすがに、出来ない。

 共同戦線を断ると、メックラーは一方的に地球へ戦線を布告した。

 寝耳に水の艦隊は、メックラーとの境界線へと向かう。
 セラ星系の軌道宇宙基地は、ノーラムの艦隊がメックラーの本星へ向かうのを
確認。
 ノーラムの拡張を好まないマジーム皇帝は、ノーラム方面へも艦隊の派遣を命
ずる。

 地球艦隊の睨みが効いたか、両国艦隊は母星へ撤収。
 ノーラムとメックラーの一時和平も実現した。
 また、メックラーは地球との技術交流によって態度を軟化。地球に再度の同盟
を申し込み、地球側はこれを受諾した。

 しかし、メックラーは最後に「真の敵」の為に、との言葉をこぼす。
 彼らの言う「真の敵」とは………?


★昆虫型生物「クラッコン」

・クラッコンとの接触

 メックラーの言っていた「真の敵」の正体は、1年も立たないうちに明らかに
なった。
 独特の社会を形成する昆虫型生物「クラッコン」である。
 その社会形態は、地球のアリやハチに酷似している。 その「女王」を中心と
した「頭脳階級」が全てであり、クラッコン一人一人は「クラッコン」の1細胞
であるのだ。
 本能によるものか知性によるものか、次々に星系へ移民してゆく。
 現在は銀河の3分の1を領有している。
(ちなみに地球帝国は銀河の4分の1程度である)

 メックラーは、そのクラッコンの侵略を受けていた。

 亜空間通信にクラッコンからの通信が入る。
 明らかに異質な思考を持っており、「外交」や「交易」の概念も通じなかった。
 向こうはただ、「邪魔だから退いていて欲しい」という意味の電文を残し、通
信を切った。

 それと入れ替わりで、メックラーから緊急通信が入る。

 クラッコンの戦艦が向かっているので至急、艦隊を派遣して欲しい。とのこと。
 この戦闘に介入すれば、クラッコンと地球との全面戦争もありえる。
 しかも現在、艦隊の主力は、新兵器「パルソン・ミサイル」の配備でドックに
入ったきりである。
 ここは、メックラーにお引き取り願うことにする。
 メックラーの外交官は激怒。地球人を嘘つきと罵り通信を遮断した。

 海皇星系の先、ナール星系の軌道宇宙基地では、クラッコンの艦隊がメック
ラーのもつセマ星系へ向かっているのを探知した。 目的地はナール星系の目と
鼻の先である。

 先の通信のすぐ後、メックラーの外交官が泣きつくように、再び艦隊の派遣を
要請した。
 クラッコンがメックラー領セマ星系を攻略したら、次の目標は地球領ナール星
系であることは、火を見ることより明らかだ。
 地球帝国は、巡洋艦「高尾」と護衛艦「隼」2隻を派遣することに決定する。
 戦力的には圧倒的に不利だが、「高尾」の装備とベテランの海兵隊ならば、主
力艦隊投入までの時間稼ぎにはなる。

 ところが、セマ星系の軌道に到着した「高尾」と「隼」は、信じられない光景
を見た。

 クラッコンの艦隊が、あっさりと母星へ帰ってゆく姿である。

 どうやらクラッコンは「たまたま空いていた土地(セマ星系)」に「巣」を作
ろうとしたが、「大きな障害物(地球艦隊)」があったので、別の所に「巣」を
作ることにしたらしい。
 そこの住民である、生命体を認める能力は存在しないようだ。(「住民」とい
う概念も無いらしい)

 クラッコンの「思考」が何とはなしにわかった。
 外交官は亜空間通信で、クラッコンの「女王」とコンタクト。
 そちらの「巣」と、こちらの「巣」がぶつかったら大変な労力を消費します、
お互いの「巣」がぶつからないように「巣」を拡げましょう、との意を伝えると
「女王」は「理解」。 地球とクラッコンとの間に「不戦条約」が締結される。

 その後、メックラーから通信が入り、「地球帝国の偉大さ」と「地球人の信
義」を褒めちぎり、あらためて同盟を申し入れてきた。
 地球側は多少呆れたが、現在、事を構えたくない………主力艦隊がドックに入っ
ているのだ!………地球はメックラーとの同盟を受諾。 銀河に一時的な平和が訪
れる。

 間髪を入れずにノーラムからも、「偉大な地球帝国殿」、こちらに何かあった
時もよろしく。と通信が入る。
 なかなか、食えない種族である。


★フェリス星系へ

・宇宙生物「ドラコ」

 数十年前、フェリス星系で地球の護衛船を一撃で破壊した宇宙生物は、まだ存
在した。地球は竜に似たこの生物をラテン語風に「ドラコ」と命名していた。

 地球帝国は、数十年前の事件を忘れていなかった。特に隣りのセラ星系の住民
は、宇宙生物への恐怖もぬぐい去れなかったのだ。
 さらに、マジーム皇帝は、フェリス星系の豊かな資源と、先住民による労働力
の確保に着目。
 宇宙生物撃退のために、艦隊を差し向ける。

 「ドラコ」は地球帝国の巡洋艦ほどの大きさで、地球の伝説に出てくる竜に
そっくりだった。 「彼」はフェリス星系の軌道を漂っていた。

 「高尾」と「長門」の砲塔が火を吹く。
 だがそれは、ドラコの表皮に多少焦げ目をつけただけであった。
 同時に全艦はミサイルを射出。
 新型「パルソン・ミサイル」はドラコを捉えて追尾してゆく。
 しかし、ドラコの飛行速度は帝国の戦闘機以上だった。追尾するミサイルを振
り切り、1隻、1隻と、艦を破壊。

 「長門」のシールドが破られそうになった時、追尾していたミサイルが再びド
ラコを捉えた。
 全弾命中。
 手負ったドラコは凶暴性を増し、一気に「長門」を破壊。
 その時、背後に回り込んでいた「金剛」がフュージョン砲の一斉射撃を行う。

 ドラコは宇宙の塵と化した。


・先住民フェリスン

 ドラコを撃退した地球帝国は、フェリス星系への植民を開始する。
 移民船は先住民の住む、フェリス第2惑星に着陸した。

 先住民「フェリスン」は大型霊長類の様な体躯で、農耕生活を中心とする穏健
な種族だった。
 フェリスン達は、初めて見る異星人に最初は面食らったものの、翌日も変わら
ず自らの生活を続けていた。

 フェリスンの長老と話し合いの席をもった地球人は、フェリスンと移民団との
共同生活を提案。 フェリスン達は快く食料などの生産物を提供してくれた。

 フェリス星系は後に、地球帝国の一大食料生産地となる。
 それと共に、地球帝国最大の悩みの種になるのであった。


★ノーラム、メックラーとの静かなる戦い

・冷たい戦争 〜フェリス星系領有権

 銀河にはしばらく平穏な日々が続いていた。
 各種族は未開の星系に移民を続け、お互いに技術交流を交わしていた。

 そんなある日、地球帝国に事件が勃発する。

 地球領フェリス星系の地球型惑星に、ノーラムの移民団が大量入植してきたの
だ。
 フェリス第1惑星、第3惑星はノーラム領となる。このままでは、艦隊のほと
んどを失ってまで手に入れたフェリス星系の領有権は、ノーラムのものとなって
しまう。
 地球帝国は急遽、移民船を氷に覆われた第4惑星へ着陸させ、巡洋艦3隻を周
回軌道に待機させた。

 同時にノーラムの艦隊も、周回軌道に待機。
 フェリスは、2種族の牽制しあう星系になってしまった。
 奇妙な膠着状態は、これから数十年続くのである。

 地球とノーラムの冷たい関係が始まった。


・技術戦争

 他の種族に吸収されないためには、高度な科学技術が必要になってくる。
 特にそれは軍事力に即、影響する。

 各種族は、自らの勢力を守るために次々と新技術を開発。
 武器に、惑星開発に、その技術を惜しげもなく投入していった。

 互いに技術の遅れは、滅亡へとつながるのだ。

 また、技術は外交カードとしても使える。
 譲歩の要求や、革新的技術を手に入れるために、他のもっていない「技術」は
切り札になる。
 ただ、その切り札の技術を他種族に渡すことによって、自らの優位を手放すこ
ともありうる。

 技術開発と外交。
 戦矛を交えなくとも、戦いは続いている。


・エスピオナージ

 地球帝国は、最新の惑星開発技術と艦船のシールド技術が、他の種族に漏洩し
ていることに気付いた。
 過去の情報を調べてみると、かなりの量の技術が漏洩していることがわかる。

 皇帝「マジーム」は、直属の諜報機関「月鼠(ムーアディーブ)」に調査を命
ずる。

 すると、驚くべき事実が判明した。
 帝国領内には、なんと1千万人規模のノーラムの情報機関が存在した。
 ノーラムの情報員養成機関も、銀河最大規模であった。
 地球帝国の技術・情報は筒抜けだったのだ。

 皇帝は、諜報機関「月鼠」を情報組織として拡張。
 帝国全土に1千4百万人の情報員を配備し、スパイの摘発、情報漏洩の阻止、
に努めさせた。
 さらに、ノーラムへ1千万人の情報員を派遣させる。

 それでも、情報の漏洩は絶えず、ノーラムに派遣した情報員の消息は、次々に
絶えていった。


・新型艦「妙高」「富士」就航

 情報組織「月鼠」の規模も3千万人になると、徐々に情報の漏洩は無くなって
いった。

 フェリス星系問題、情報漏洩と、ノーラムとの冷たい戦争は続き、将来、軍事
衝突は避けられないと感じた皇帝は、新型艦の設計・製造を命じる。

 地球の技術陣は、すでに「弩級艦」クラスの建設技術を確立していた。
 弩級艦クラスの艦船が就航すれば、今までの戦艦は巡洋艦並みになる。

 主砲は、距離によるエネルギー減衰を無くした「マス・ドライバー」4門。
 多弾頭・高速化したパルソン・ミサイルを6基。
 核爆弾20基。防御用レーザーキャノン10門。
 新型、クラスVシールド搭載。
 弩級戦艦「富士」は、設計から10年足らずで就航した。

 同時に、「富士」を援護する巡洋戦艦「妙高」も就航。
 ミサイルを主体とする「富士」を援護するため、「妙高」にはエネルギー砲を
主体とした武装を施した。

 ノーラムも負けじと艦隊を整えてくる。
 情報によると、こなれて確実な技術を兵器に導入。リニューアルして艦に搭載
してあるらしい。
 制御コンピュータも高速な新型のものを搭載している。
 バランスの良い、「的確」に命中させてくるタイプの艦隊である。

 両艦隊が激突する日はあるのだろうか。


★「アンタレス人」襲来

・彼らは別宇宙からやってきた

 ある日突然、鉱業惑星タオに、見たことのない艦隊が襲来した。
 その規模は巡洋艦クラス1、あとは護衛艦クラスが5隻ほどである。

 新型艦のテストにはもってこいと、帝国はタオ星系に艦隊を派遣する。

 しかし、その謎の艦隊の力は、異様であった。

 彼らの巡洋艦の砲塔が火を吹くと、「妙高」のシールドは一気に破られた。
 彼らの護衛艦のスピードは、「飛龍」の搭載機「インターセプター」をも上回
り、裸同然の「妙高」は1隻、また1隻と破壊された。

 「富士」のパルソン・ミサイルと、「妙高」のフュージョン・ビームの集中砲火
で、なんとか謎の艦隊を撃滅したが、帝国艦隊のほとんどはスクラップとなり、
惑星タオの軌道を漂っていた………。

 謎の艦隊が出現した時、地球の観測所は、銀河の中心部に次元の裂け目が出現
したのを捉えていた。

 アンタレス人。
 銀河系のあちこちに散らばる伝説や、オリオン人の遺跡に刻まれている、不吉
なその名前を思い出す。
 伝説によると彼らは、オリオン人によって人工空間に封じ込まれたはずである。

 彼らは次元を越えるすべを身につけたのだ。
 そして、彼らは銀河に戻ってきたのだ。

 銀河に住む、全種族は震撼した。
 この日を境に、アンタレス人の無差別攻撃は始まった。


・ジェム星系壊滅

 太陽系から20パーセク以上も離れた辺境の星「ジェム」。
 ここは宝石や希少金属の一大産地で、地球帝国の財政を潤していた。

 そこに、突然のアンタレス襲来。

 艦隊は、前回のアンタレス戦で失った艦船を、修理、補充するため、太陽系と
海皇星系に集結していた。
 アンタレスがジェムに襲いかかるまでに3ヶ月。艦隊が辺境のジェムに到着す
るまでに5ヶ月。どう逆立ちしても(ワームホールを使おうとも)間に合わない。

 皇帝は、艦隊の派遣を見送ることを決定した。
 ジェムの軌道宇宙基地と、地上の海兵隊で持ちこたえる事に期待して。

 アンタレス側は、護衛艦クラスが7機。
 これは、コロニー1つ、壊滅させるに余る戦力である。

 地球側の戦力は、ミサイルとエネルギー砲で武装した宇宙軌道基地。
 地上のミサイル基地と大型迎撃エネルギー砲。
 惑星全体を覆うシールド。
 アンタレスに対しては、裸のようなものだ。

 宇宙基地と地上のエネルギー砲は善戦する。
 アンタレスの護衛艦を1隻、1隻と沈めてゆく。
 もしかしたら。との思いがジェム人の頭をよぎる。

 しかし、その思いもむなしく、シールドの破れた宇宙基地が爆発した。
 惑星のミサイルも尽きた。

 容赦のないアンタレスの惑星爆撃が始まった。

 死者1500万人。惑星施設全壊。次々に悲惨な知らせが地球に届く。

 地球側が完全にジェムを諦めたその時、微弱な波長が地球に届いた。
 生き残りがいたのだ。 喜びに包まれる地球。
 ジェムからの報告によると、生存者、住民100万人、海兵隊10万人。
 惑星シールドによって、爆撃に耐えられた人々がいたのだ。

 皇帝は、即、救援隊を派遣。ジェムの復旧を急がせた。

 そして、対アンタレスの思いも新たにする。


★大銀河会議開催

・銀河盟主決定 〜二大勢力「地球」・「クラッコン」

 銀河をほぼ二分する勢力、地球帝国とクラッコン共同体。
 二つがぶつかれば、中小勢力を巻き込み、銀河に壊滅的なダメージを与えるだ
ろう。
 とはいえ、このままの分裂状態では、アンタレスとの戦闘もままならない。

 銀河の全種族は、銀河の盟主を決定する会議「大銀河会議」を開催することに
決定した。

 会議用に設置された、テーブル型の亜空間通信機に各種族の盟主の姿が、次々
と映し出される。

 盟主として推薦されたのは、地球帝国皇帝マジーム、クラッコン共同体頭脳
「女王」(名前は地球語で発音できず)。
 各種族の投票で、3分の2以上の得票があれば「銀河盟主」に決定される。
 投票数は、所有惑星の数だけ投票できる。

 マジームと「女王」はもちろん「自推」。
 ノーラムは地球帝国に、メックラーはクラッコンに投票。
 集計の結果、票は割れ、今会議では盟主を決定できなかった。
 各種族は、再び大銀河会議を開催することを決定して解散した。

 この時、地球の外交官の1人が「虫はゴメンだ」との発言を残したが、慌てた
地球側の要請により議事録から抹消された。
(もっとも、ノーラム以外にはその意味はわからなかったが。)
 クラッコンの外交官(?)の顎もカチャカチャと鳴っていたので、多分、クラッ
コン側も似たような言葉を吐いていたものと思われる。


★「オリオン」へ

・オリオン

 地球帝国は古代種族オリオン人の母星系である「オリオン」を早くから発見し
ていた。 一大交易星系「ナール」の隣りである。

 「オリオンの家は力あるものにより守られ、
   オリオンの帰還を永遠に待ち続けている」

 こんな伝説が、銀河には伝わっている。
 解釈すれば、オリオンの母星には「自働機械による守備隊」が存在し、何万年
もオリオンを守っているということであろう。
 その「力あるもの」は「ガーディアン」と名付けられていた。

 アンタレスとの戦いで決め手を欠いている地球帝国は、皇帝命令によりオリオ
ンの調査に着手する。
 オリオンに、アンタレスを封じ込めた科学力の痕跡が残っているとすれば、ア
ンタレスへの決定打となる兵器を開発できるかもしれない。

 ナール星の宇宙基地は、クラッコンの艦隊がオリオンで壊滅したのを観測。
 力あるもの「ガーディアン」の強さは、アンタレス艦隊の比ではないらしい。

 オリオンへ放った無人の調査船は、数分で連絡を絶った。

 帝国主力艦隊は、意を決してオリオンへ向かう。


・「ガーディアン」

 巨大で美しい緑の惑星「オリオン I」。
 その軌道上に「ガーディアン」はいた。
 「彼」は一人だった。

 巨大な船と、生物の合いの子の様な姿が、白く輝く結晶と思われる装甲に包ま
れている。
 目のような光球が、艦隊を睨んでいるように思われる。

 艦隊は一斉射撃を開始した。

 それはガーディアンの装甲に傷を付けただけにとどまった。
 しかし数分後にミサイルが着弾し、「飛龍」から飛び立った戦闘機が攻撃すれ
ば、かなりのダメージを与えられる。

 大量のミサイルが着弾する寸前、ガーディアンは不意に姿を消した!
 戦闘機も目標を失い、母艦に情報を求めている。

 数秒後、ガーディアンは姿を消したときのように、不意に艦隊の真ん中に姿を
現した。
 正体不明のエネルギーを乱射し、艦を次々に破壊してゆく。
 さらに光の輪を発し、周囲の艦船のシールドを破ってゆく。

 1体のガーディアンによって、艦隊が全滅する恐れが出てきた。

 体勢を立て直した「富士」と「妙高」は、マス・ドライバーの連射でガーディ
アンにダメージを与え始めた。
 それでも冷静に各艦を「処理」するガーディアン。

 その時、戦闘機部隊がガーディアンに追いつき、雷撃を開始した。
 目標を失っていたパルソン・ミサイルも、艦船にかかり切りのガーディアンを
捉え、次々に着弾してゆく。

 側面に回り込んでいた「長門」は、未だ満載のミサイルと、フュージョン砲を
ガーディアンにたたき込む。

 装甲を破られたガーディアンは力つき、大爆発を起こした。
 その大爆発は艦隊を巻き込み、艦船数隻を巻き添えにする。

 多大な犠牲と共に、ガーディアンは撃退された。


・オリオン人の遺産 〜「猛鳥」号

 オリオンに到着した科学調査団は、予想以上の成果に歓声を上げた。

 アンタレス艦の主砲に使用されている「死滅光線〜デス・レイ」
 シールドの効果を無効にする「パーティクル・ビーム」
 の製造方法を発見し、さらにはオリオンの造船技術をも手に入れたのだ。

 オリオンの遺産はそれだけではなかった。
 遺跡の下には、
  オリオン・対アンタレス迎撃艦「猛鳥」号
 が、巨大な翼を休めていた。

 この艦は、「ガーディアン」の小型版といえるもので、推進機関や「瞬間移動
機関」、「光の輪」は現在の科学力ではまったく解明できない。
 ただ、操縦法は地球の艦船よりも簡単なもので、すぐに操縦法は習得できた。

 地球は、オリオンの遺産と、オリオンの子供を手に入れた。


★ノーラムの野望

・メックラーの予言

 地球が、対アンタレスへの準備を着々と進めている頃、銀河のあちこちで紛争
が始まった。
 原因はノーラムである。

 ノーラムは隠していた野望をついにむき出しにしたのだ。

 メックラーだけが、始めからノーラムの本性をわかっていた。
 数十年前、メックラーが地球帝国に要請した、対ノーラム共同戦線を思い出す。
 今となってはもう遅かった。

 アンタレスによって弱まった、メックラーやクラッコンのコロニーへ侵攻する
ノーラムの大艦隊。
 その軍事力と科学力は、地球をも脅かす存在になった。

 そんな折、「デス・レイ」の製造法がノーラム側に漏洩した。


・クラッコンへの侵攻

 2回目の「大銀河会議」が開催された。
 推薦された盟主の席に着いているのは、地球帝国皇帝マジームとノーラムの首
席である。

 メックラーとクラッコンは、ノーラムに外交圧力をかけられ、ノーラムに投票
する。
 それでも得票数が割れ、今回の会議でも銀河系盟主は決まらなかった。

 この会議の結果で、ノーラムは、力で銀河を手に入れようと決心したらしい。
 大艦隊がクラッコンの母星系へ侵攻するのを、オリオンの宇宙基地が探知した。

 2年の会戦の後、銀河の半分を手中に収め一時は銀河盟主までになろうとして
いたクラッコンは、ノーラムの手によって銀河の歴史から消え去った。


・メックラーの最期

 ノーラムとクラッコンの戦いで「漁夫の利」を得ようとしたのは、メックラー
である。
 強大な技術力と科学力で、地球とノーラムに圧力をかけてきた。
 地球に対しては朝貢を、ノーラムに対しては領土(星系)を求めてきたのであ
る。

 地球とメックラーは、交戦状態に入った。

 怒りに狂ったノーラムの艦隊に、クラッコン攻略から帰投する艦隊が加わり、
大激戦が繰り広げられた。
 地球領に流れてきた救命ポッドの量で、その被害がわかった。
 救命ポッドのほとんどが、メックラーのものである。

 間髪を入れずに地球帝国は、惑星攻略用の海兵隊を乗せた輸送船と、戦艦「長
門」、巡洋戦艦「妙高」、「猛鳥」号をメックラー領へ急行させる。

 ズタズタになったノーラムの艦隊は、ノーラム領へ帰投していた。

 メックラーの残存艦隊と、軌道宇宙基地は、最後の砦を守っていた。

 メックラー艦隊へ「長門」「妙高」の一斉射撃、宇宙基地にはテレポート能力
を持つ「猛鳥」号が襲いかかる。
 1時間もかからずに、メックラー領の星系は丸裸同然となった。

 「妙高」を周回軌道にのせ惑星を爆撃、その後、海兵隊をメックラーの母星
「メクロム」へ降下させる。
 ところが帝国………というより海兵隊は、メックラーがサイバネティクス技術で
身体を強化している事実を忘れていた。
 メックラー人1人1人が、強化服を着た機動歩兵のようなものなのだ。
 海兵隊、第1部隊は地上戦闘で全滅する。

 とはいえ、第2部隊、第3部隊を降下させて、メックラーの母星を攻略。
 地球帝国に、メックラー領が転がり込んできた。
 これが本当の「漁夫の利」である。


★フェリス星系危機

・大型艦集結

 ノーラムの野望は留まる所を知らず、また、メックラー領をさらわれた怒りも
癒えなかった。
 ノーラムは、地球帝国と共有しているフェリス星系を封鎖するため、大型艦を
集結させる。 さらに、対地球艦隊用に「エネルギー・ウェブ」を星系に張り巡
らし、星系を完全封鎖した。

 地球艦隊も、「デス・レイ」を新装備した大型艦をフェリス星系に集結させる。
 フェリス第2、第4惑星の迎撃エネルギー砲も「デス・レイ」に転換した。

 フェリス星系は、一触即発の危機に見舞われる。


・回避 〜張り子の虎

 地球帝国は、戦闘を避けたかった。

 銀河のほとんどを手中に収めた今、この一大決戦で破れ、一挙に帝国が崩壊す
る危険をおかしたくなかった。
 さらに、集結させた大型艦のほとんどがは、旧型艦に新兵装をつけた急造艦、
張り子の虎なのである。

 ノーラムは挑発して、衛星軌道戦にもつれ込ませようとしている。
 そうなれば、ノーラムの機動宇宙要塞や相手の「ウェブ」によって、不利な戦
いを仕掛けねばならない。

 地球側は外交で決着をつけることに決定。

 外交交渉で、地球はノーラムに譲歩させ、艦隊不可侵協定を締結することに成
功する。
 地球とノーラムの艦隊は、領内へ去っていった。

 全面戦争の危機は去った。


・新型艦「大和」就航

 ノーラムとの危機が去った同時期に、主力艦「大和」クラスが5隻就航する。
 対アンタレス用の主力戦艦である。

 兵器の小型化に成功した科学者は、弩級戦艦にアンタレス艦なみの兵器を装備
させた。
 「デス・レイ」4門、シールドを無効にする「パーティクル砲」5門、「マス・
ドライバー」5門、大量の「パルソン・ミサイル」
 さらに、新型クラスVII シールドを装備。オリオンの造船技術を使っての船体
構造強化。
 推進機関は多少旧式だが、「張り子の虎」とは言えない艦が完成した。

 そして15年の歳月をかけて、全星系に配備が完了した。


★アンタレス決戦

・全艦隊・未知の次元への航海

 地球の科学者は、アンタレス人のいる人工空間の位置を確認した。
 現在のエネルギー技術をもってすれば「アンタレス」へ続く次元の穴は、比較
的簡単に開けられるそうだ。

 年々強力になってゆくアンタレスの攻撃。
 彼らが大型戦艦で侵略を始めれば、この銀河はひとたまりもないだろう。

 皇帝マジームは先手を打つことに決定した。

 帝国の中心地かつノーラム領から離れた、海皇星系に「次元の穴」を作り帝国
の全艦隊を投入しようというのだ。
 これは大きな賭である。
 失敗して全滅したら、地球帝国はノーラムの思うがままになってしまう。

 フェリス星系の観測で、ノーラムの主力艦隊がドックに入った時を見計らい、
皇帝は全艦隊を海皇星系へ集結させた。
 内訳は「大和」級6隻、「富士」級4隻、「長門」級6隻、「飛龍」級2隻、
「妙高」級6隻、「高尾」級5隻、大型空母「赤城」級2隻、そして「猛鳥」号
である。

 「次元の穴」へ艦隊が飛び込むと、そこには見たことのない宇宙が拡がってい
た。
 そこに現れた人工惑星「アンタレス」。
 そして衛星軌道上にはアンタレスの宇宙要塞が浮かび、アンタレスの機動艦隊
が待ちかまえていた。

 アンタレスとの決戦が始まった。


・アンタレス決戦 〜「猛鳥号」の最期

 まずは大型艦の一斉射撃が始まった。
 それと共に、攻撃機「インターセプター」が「飛龍」「赤城」から飛び立つ。

 そこで艦隊は信じられないものを見た。
 軌道要塞や敵艦隊に命中したエネルギーが、鏡のように反射するではないか。

 艦隊がアンタレスにダメージを与えた分だけこちらもダメージを喰らうのだ。
 特に、距離によるエネルギー減衰を抑えている「マス・ドライバー」を主砲に
している艦のダメージは甚大である。
 すぐに、シールドの前面が破れてしまった。 シールドの修復装置がうなり声
をあげて、フル回転し始めた。

 アンタレス軌道要塞の主砲は、デス・レイの10倍の威力と収束力を持ってい
た。 小型の艦「高尾」「飛竜」が次々と屠られてゆく。
 また、敵艦隊はブラックホールを自在に操り、こちらの艦隊を捕らえて破壊し
てゆく。
 攻撃機も艦隊に取り付く間もなく、「光の輪」によって全機撃墜された。

 側面から「妙高」「長門」が攻撃を開始する。
 この艦には敵のシールドを破るパーティクル砲を搭載しているのだ。
 敵のシールドが弱まった所に「富士」からの大量のパルソンミサイルが着弾す
る。
 アンタレス艦も、1隻1隻沈んでいった。

 だが、軌道要塞主砲の威力は凄まじかった。
 近接戦でシールドの弱まった艦を1撃でしとめる。
 このままでは、主力の「大和」「富士」が沈むのも時間の問題である。

 その軌道要塞に、アンタレス戦艦を屠ったばかりの「猛鳥」号がテレポートで
襲いかかった!

 軌道要塞に取りすがり、「光の輪」と「デス・レイ」で確実に中枢部を破壊す
る。それと同時に「猛鳥」号の中枢部も要塞の主砲の連射を受け、確実に弱って
いる。
 まるで、オリオン人がアンタレスと刺し違えるかと見えた。

 「猛鳥」号が光に包まれ、塵になった。

 鉄屑寸前となった要塞に、「長門」の主砲がとどめを刺す。
 要塞は大爆発を起こし、アンタレス星表面へ多大なダメージを与えた。

 要塞の援護のないアンタレス艦は敵ではなかった。
 「大和」「富士」「長門」は全てのアンタレス艦を沈めた。


・アンタレス

 艦隊はアンタレスへの爆撃を開始した。
 容赦のない「壊滅爆撃」である。

 爆撃機は、一瞬、炎に包まれるアンタレス人を目撃した。

 それは全身がぬめりを帯びた緑色で、植物とも、生物ともいえない外見をして
いた。

 アンタレス星が壊滅する瞬間、地球艦隊はアンタレスの声無き声が聞こえたよ
うな気がした。

 アンタレスは、滅んだ。


★地球連邦発足

 地球帝国皇帝マジームは艦隊の帰還と同時に、銀河系全域に「安全宣言」を発
令した。
 アンタレスの脅威は取り払われたのだ。

 しかし、問題は山積していた。

 ノーラムの力は侮れない。

 また、この巨大な帝国の運営にも、ほころびが出来始める。
 中央集権による弊害が出てきた。
 帝国の政治学者によると、このままでは100年と持たないそうだ。

 皇帝は、交易星系など一部地域で採用していた「自治制度」を全域に採用する
ことにする。
 皇帝マジームは自ら退位。

 「銀河連邦」が成立した。


終わり



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