Kohan : Immortal Sovereigns
  (コーハン:インモータル・ソベリンズ)

 Strategy First / TIMEGATE
 (英語版)

一進一退の大乱戦!



◆ ゲームについて

 このゲームは、ファンタジー世界 Khaldun を舞台にしたリアルタイム・ストラテジー・ゲームです。

 プレイヤーは一勢力を受け持って、歩兵・騎兵・魔法使い・等の兵を「英雄」の元に束ねて戦闘を行い、勢力を拡大してゆきます。
 ユニットの行動は「部隊」を単位とし、収入や部隊編成は「都市」を単位として行われます。

 マップは、シングル/マルチ・プレイ共々プレイするたびランダムに生成され、自分で設定した様々な状況──敵や目的──によって、毎回、違った戦略を立てることができます。
 また、マップの地形にはボード・ゲームのように「地形効果」があり、移動や防御力に影響します。

 ゲームは「部隊編成」と「戦闘」による戦略が中心となっていて、とてもシンプルにまとまっています。


相手に「治癒能力」を持った英雄がいると、
なかなか手強い。



◆ 部隊

 ユニットは、「英雄」( Character )や「将軍」( Captain )を中心に、いくつかの兵隊ユニットで編成する「部隊」( Company )単位で、移動や戦闘を行います。
 この「部隊」の編成と運用が、ゲームのキモといえるでしょう。

 ただし、編成できる部隊の数は上限があり(その勢力の所有する都市の数による)、一度編成すると「解散」しなくては編成し直せないので、よく考えて編成しましょう。

 安価で主戦力となる「歩兵」、足が速く機動戦に向いた「騎兵」、遠距離から相手を狙う「弓兵」、などを前衛に配し、
 強力な魔法を唱える「魔法使い」、聖なる力を使える「僧侶」、地形による不利をなくす「野伏」、などに部隊を援護させ、
 さらに、資金や部隊数の制限をにらみつつ、その「部隊」の役割を考えながら編成します。
 部隊の中心となる「英雄」は資金を払ってアミュレットで呼び出し、「将軍」は部隊を編成することによって自動的に現れます。

 また、部隊には「士気」があり、戦闘を続けると下がってゆきます。
 「士気」がゼロになると潰走してしまうので、必要なときに都市や砦の補給ゾーン( Zone Of Supply )で回復させます。

★ 主な兵

名称コスト消費必要な施設
 特徴
Footman 軽歩兵木材1
 最初に雇える兵。 足はそこそこ速いが、戦闘力は低い。
Infantry 歩兵鉄1Blacksmith
 バランスの取れた兵。 ゲーム全般に渡って主力になる。
Grenadier 擲弾兵木材1,鉄1Blacksmith,Barracks
 重装備の精鋭歩兵。 戦闘力は高いが足は遅い。
Bowman 弓兵木材2Woodmill
 遠距離からの攻撃が可能。 部隊のサポートとしても使える。
Scout 斥候木材1
 足の速い軽騎兵。 足は速いが戦闘力は低い。
Dragoon 重騎兵10鉄2Blacksmith ,Barracks
 重武装をした騎兵。 高い機動力と攻撃力を持つ。
Settler 開拓者15石材1
 新しく都市を建てることができる。 都市を建てるとそこの住人となる。
Engineer 工兵10石材2Quarry
 砦の建設や、都市や砦の修理をこなす。 戦闘力もそこそこある。
Cleric 僧侶Temple
 主に「治癒」などの魔法で部隊を援護する。
Ranger 野伏Woodmill, Library
 地形の影響による移動力低下を防いだり、視界を広げる。
Magician 魔法使いLibrary
 主に「火炎」など攻撃型の魔法で部隊を援護する。

 その他に、蛮族の村を勢力化に入れると編成できる、強力な Berserker (蛮族)や Beast Rider (ビースト・ライダー)、暗黒の勢力でプレイすると編成できる Skelton (スケルトン)や Necromancer (死人使い)など、の種類があります。


戦略を立てながら編成をするのだ。



◆ 都市と施設

 都市の規模は「村」から「城塞」まであり、その規模が大きくなることによって、木材や鉄などの資源を得る範囲が広がって収入も増えます。
 また、規模が大きくなると、建設できる施設の数も増えます。

 「部隊」は、兵隊を都市で雇って編成します。
 雇える兵の種類は、その都市の施設によって変わるので、都市の規模を大きくするグレードアップと施設の建設も、重要な戦略となります。
 逆に言えば「内政」は、施設の建設と都市のグレードアップが中心、と非常にシンプルなので、「戦闘」に専念できると言えるかもしれません。

 また、資源の多い場所や、戦略的に重要な所に、新しい都市や砦を建設することもできます。
 都市の場合は「開拓者」、砦の場合は「工兵」の部隊を編成し、建設したいところへ向かわせます。

 都市や砦には「部隊」とは別に、「守備隊」が配備されています。
 敵に攻められると自動的に戦闘をするので、主な部隊は前線に回し、戦闘に集中させることが出来ます。

★ 主な施設

名称コスト消費効果
Quarry 石切り場20石材6を供給
Woodmill 木こり小屋40木材6を供給
Blacksmith 鍛冶屋60鉄6を供給
Marcket 市場60常に石材/木材/鉄2
→金12に交換
Barracks 兵舎80石材/木材/鉄1兵が強くなる
都市が降伏し難くなる
Temple 寺院100石材3マナ2を供給
Library 図書館100石材1/木材2マナ4を供給
Wall 防壁30石材4都市の耐久力を上げる
施設を破壊から守る

▼ 施設のアップグレード

施設 名称効果
Quarry
石切り場
Mining Post
石鉱山
石材+4追加
Masonry Guild
石工ギルド
都市のダメージを回復
Stone Export
石材問屋
石4→金4に交換
Woodmill
木こり小屋
Sawmill
製材所
木材+4追加
Carpentry Guild
大工ギルド
弓兵・施設のコスト半減
Wood Export
材木問屋
木材1→金10に交換
Blacksmith
鍛冶屋
Blast Furnace
送風溶鉱炉
鉄+4追加
Aromory Guild
武器ギルド
Infantry,Grenadier,Dragoon
 のコスト半減
Iron Export
鉄鋼問屋
鉄5→金15に交換
Marcket
市場
Bazaar
バザー
石材/木材/鉄5
 →金30に交換
Bank
銀行
レートが 石材/木材/鉄1
 =金15 にアップ
Factory
工場 (Royalist のみ)
補給ゾーン(ZOS)
 50%アップ
Barracks
兵舎
Garrison
要塞
守備隊の攻撃力+4
 /防御力+2
Supply Post
補給所
補給ゾーン(ZOS)と
 索敵範囲が広がる
Billet
営舎 (Royalist のみ)
ユニットを雇うコストが
 25%ダウン
Temple
寺院
Night Bringer
「夜を呼ぶもの」
(Nationalist,Ceyah のみ)
Zealot,Shadow Priest
 を雇える
Light of Faith
「約束の光」
(Council のみ)
Channeler を雇える
Eternal Path
「永遠の道」
(Royalist のみ)
Battle Priest を雇える
Library
図書館
Mage College
魔術学校
マナ+4追加供給
Wizard Tower
賢者の塔 (Council のみ)
魔法以外の攻撃を半減
 & マナ+2追加
Astro Hall
天文の間
都市の索敵範囲が
 地形の影響を受けない
 & マナ+2追加
Wall
防壁
Fortified Wall
強化壁
守備隊の人数50%アップ
Watch Towers
監視塔
守備隊の防御力+4
Turretted Rampart
やぐら付き城壁
(Ceyah のみ)
守備隊の人数アップ



◆ 勢力

 人間の勢力「 Royalist (王国主義)」/「 Nationalist (国家主義) 」/「 Council (都市議会)」と、暗黒の勢力「 Ceyah 」が存在します。
 それぞれ、英雄/雇える兵/特徴 などが少しずつ異なります。
 (「 Ceyah 」の兵は人間の勢力とは大きく異なりますが)

★ 勢力の特徴

名称 特徴 限定ユニット
Royalist
(王国主義)
・所有できる部隊の数 +1
・都市の守備隊の人数 +2
Cavalier
(騎士)
Nationalist
(国家主義)
・都市に建てられる施設 +1
・補給ゾーン20%アップ
Elite Guard
(精鋭近衛兵)
Council
(都市議会)
・都市のアップグレードに
必要なコストが25%安い
・都市のアップグレードの
速度が20%アップ
・金の収入20%アップ
Elite Bowman
(精鋭弓兵)
Ceyah
(暗黒の勢力)
・所有できる部隊の数 +1
・都市の耐久力が20%アップ
・アンデッドとシャドウ・ビーストが
都市の守備隊
Void Beast
(ボイド・ビースト)



◆ プレイ
(※ 幾つかのプレイを混ぜ、簡略化してあります)

 「シングル・プレイ」で、勢力は「 Council (都市議会)」を選択しました。

 ゲームは、ポツンと建った都市から始まります。
 周囲の地勢は探索しないとわからないので、 Footman (軽歩兵)の部隊を作って偵察してもよいのですが、部隊数に制限がある為、終盤まで使える Infantry (歩兵)の部隊を作ることにします。

 Infantry を雇うには Blacksmith (鍛冶屋)が必要なので、都市の空きスロットに建設。 建設が終わったら、さっそく Infantry の部隊を編成します。
 まずはアミュレットをクリックして Character (英雄)を呼び出します。(……特殊能力は『「暗黒の勢力」に対する攻撃にボーナス』……まあ、役に立ちそうです)
 前衛に Infantry 、サポートにも Infantry を配置して、Infantry のみの部隊を作ります。(まだサポート用のユニットを雇えないので)

 部隊が都市の前に刻々と揃ってゆく間、都市の施設を増設します。
 もう空きスロットが1つしかないので、ここは思案して Marcket (市場)を建設しました。
 これからの行動で、たくさんの Gold が必要になってくるからです。

 歩兵部隊で周辺を探索。 中立都市があれば良いのですが。
 その間に、都市の規模をアップグレードして Woodmill (木こり小屋)を建設。
 さらに、歩兵+弓兵で編成した第2部隊を作っておきます。

 サクサクと探索しても何も見つからず………、 Royalist の軽歩兵部隊と遭遇したので、戦闘状態に入ります。 こちらの方が軽歩兵よりも強いので、何とか追い払えました。
 そこは、モノリスと遺跡(マナが入る)があるオイシイ場所でした。
 ここに都市か砦を作れば、前線基地+マナの供給場所になります。

 さっそく Settler (開拓者)を編成………しようと思ったところ、都市を1つしか所有していない我が勢力は、3つめの部隊を作れません。
 泣く泣く第2部隊を解散して、開拓者部隊を編成。 都市を建設します。
(金が足りなくなりそうなプレイだが、 Council 勢力で、市場もあるので、実入りはヨイ)

 その間に第1歩兵部隊は、 Royalist の都市を発見
 自都市で歩兵+弓兵で第2部隊を雇い直し、両部隊で総攻撃します。
 相手の反撃も強くなかなか陥ちませんが、先ほど建設した前線の都市で補給しつつ攻撃。 少々手こずりましたが、その都市を勢力下に入れます

 その勢いで進軍。 山沿いにある、基地としても最適な都市を発見
 しかしここは、 Royalist と Nationalist 、そして我が Council 勢力の中間地点だったのです!
 三軍乱れての争奪戦が始まり、都市を修復しようにも戦闘がひっきりなしに続くので、 Engineer (工兵)が近づけません。

 乱戦の中、Royalist の騎馬部隊がやってきます。
 Royalist は、こんな早くに Blacksmith (鍛冶屋)と Barracks (兵舎)を建設して、 Dragoon (重騎兵)を編成できたのでしょうか?
 その騎馬部隊はバーバリアンの Beast Rider (ビースト・ライダー)でした。
 乱戦の中、編成を整えた Royalist は、バーバリアンの村を占領し、その村でビースト・ライダー部隊を編成したのです。
 Nationalist と、我が Council 勢力は、歩兵を中心としていたので、手もなく蹴散らされました。

 その間に、我が都市では図書館を建設。
 歩兵+魔法使いで、魔道部隊を編成します。
 先ほどのモノリスと遺跡から得られるマナのパワーは有り余っているので、魔法は唱え放題です。

 魔道部隊を後陣に、第1第2歩兵部隊を投入し、三軍が入り乱れていた都市を奪います。
 さらに、魔道部隊を追加して守りにあたらせ、工兵によって都市を修復。
 進軍する拠点ができました。

 もう後は、魔道部隊によるサポートで力押しです。
 サクサクッと Royalist の全都市を陥とし、その足で Nationalist の都市を全て陥としました。
 わが Council 勢力の勝利です。

 後で「フィルム機能」を使ってリプレイを見ると、 Royalist と Nationalist は中立都市の攻略に苦しみ、経済的に辛い状態の所、我が Council 勢力が「漁夫の利」で攻略していたようです。
 楽に勝ったようで、実はタイミングが良かった「だけ」でした。


三軍入り乱れての大混戦!
青色の Royalist が森の中から攻めてきたので、
赤色の我が軍は苦戦しています。
下では、緑色の Nationalist が
漁夫の利を狙っています。

大軍団にふくれ上がった我が軍。
魔法使いの炎が、有り余っています。(笑)
前衛の騎兵はビースト・ライダー。



◆ おわりに

 実に渋いゲームである。

 見た目や操作は地味だが、
 「騎兵は速い」「弓兵は接近戦に弱い」「魔法使いは強力だが肉弾戦に弱い」「森に入ると機動力が落ちる」「有利な地形が存在する」「戦闘を続けると士気が下がる」「強い英雄は強い」等々……、
 ファンタジー・ゲームにとって当たり前のことを、しっかりと実現しているのである。

 そして、他のリアルタイム・ストラテジーでは当たり前の存在である「作業用ユニット」──「 Age of EMPIRES 」の「街の人」、「 STAR CRAFT 」の「 SCV 」、等──は、珍しくも省略されている。
 それによって、画面の賑やかさと資源の争奪戦は無くなってしまったが、メインとも言える「部隊の戦闘」に集中できるのである。

 これは、マウスを忙しく動かさなくてはいけないゲームが苦手なプレイヤー(例=オレ)には、とてもありがたい。

 ただ、不満点はある。
 ユニットや勢力は似たようなものが多く、特徴的なものが少ないのである。
 マップが平面的でクウォーター・ビューを活かせていないのである。
 出現するキャラクター(英雄)がランダムなので、感情移入し辛いのである。

 とは言え、このゲームのように「プレイして面白い」、ファンタジーのリアルタイム・ストラテジーは少ない。
 「 Kohan 」は大作ではないが、ファンタジーの雰囲気の中、部隊の編成を考え、ワラワラとした戦闘をサクッと楽しめる良作である

 ちなみに、このゲームは「英語版」である。 まぁ、少々の英語力と、チュートリアルをコツコツとプレイする根気があれば、なんてぇことはない。 ……と、思う。




◆ おまけ の独り言

・ゲーム中で「 Company 」と呼ばれる兵の集団を「部隊」と訳しているが、これはRPGのパーティや、TVドラマ「コンバット」のサンダース軍曹率いる部隊など、「結束の堅い部隊」を連想した為である。
 サンダース軍曹って、Kohan 一族並みに不死身だし。(笑)

・キャラクター(英雄)を自分で作成できたら、感情移入できたぞ、きっと。

・キャンペーンプレイの主人公ダリウス君の顔を見ると、何となく「エリック・ザ・バイキング」のエリック君を思い出します。 そう、あのヌパッとした顔のさえない主人公………。

・そう。 地味〜に見えるのは、「生産用ユニット」がワラワラと働いていないせいかもしれない。 直接操作出来なくてもいいから、ワラワラと動かしておくべきだったかも。

・個人的には、バーバリアンの「ビースト・ライダー」がお気に入り。
 すわっ、と槍をかえす動きが、エラくカッコイイ。 もちろん、強い。

・ホント、ファンタジーをテーマにしたRTSって少ない。
 魔法やら種族が入り組んで、デザインやプログラムが大変だとゆーことは理解できるのだが。



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