インペリアリズム 2
FROG CITY / SSI
/ メディアクエスト (英語 & 日本語) Windows 95 / 98 |
![]() 橙色に染まっている 我がオランダ帝国領 |
■ ゲームについて 「 IMPERIALISM II 」は、ターン制の帝国運営ストラテジー・ゲームです。 舞台は15〜17世紀の架空の欧州世界。 イギリス/スペイン/ポルトガル…といった大国と、スイス/ドイツ/アイルランド…などの中立的な小国が存在し、マップはプレイ毎に生成されます。 (史実の欧州マップもあります) プレイヤーは大国の1つを受け持ち、生産・資源管理・軍事・技術開発・交易・外交、そして新世界の発見・開拓を進め、他国と覇権を争います。 プレイヤーの国が、旧世界(欧州)における過半数の州(エリア)を領有すれば、「勝利」となります。 大陸の州を領有するには、 ・ 軍隊を編成し、攻め込んで制圧する。 ・ 外交によって、帝国に編入する。 という方法がありますが、軍隊の編成には「労働者」と「布」「青銅」「馬」などの「加工品」が、外交工作には潤沢な「資金」が必要になります。 そして、 加工品「青銅」は、資源「錫」と「銅」から「労働者」が加工 → 「錫」や「銅」は、山岳の鉱脈に「鉱山」を建設して入手 → 「鉱山」は、「建築士」が「木材」と「鋳鉄」を使って建設 → 資源は「鉱山」から首都まで「建設技師」の引いた道路で輸送 ── というように、必要な「加工品」は、「資源」を首都まで「輸送」し「労働者」によって「加工」して手に入れます。 さらに「労働者」や「軍隊」は、「穀物」や「食肉」といった食料を消費するので、生産力や軍事力を増やすには、食料を確保しなければなりません。 また、資源と加工品は、他国との「交易」によって取引することもできます。 「交易」は資源・加工品の確保だけでなく、手持ちの資金を増やし、他国との外交関係も良好にします。 良好になった外交関係は、「外交」に上手くはたらき、大国間で同盟を結んだり、小国を平和裡に併合することも可能になるでしょう。 平行して、新しい武器や効率の良い生産方法を生み出す「科学技術」の研究も進めることになります。 このように様々な要素が絡まり合ってるので、とっつきは少々悪いのですが、細かいルールやシステムがシンプルにまとまっている為、チュートリアルをプレイすれば大体のところは飲み込めます。 例えば、基本的に「軍隊」の移動は州から州へ1ターンで済み、開拓や建設は細かく指定するものの資源の輸送は自動的に行われます。 生産や交易もグラフをスライドをするだけで良く、外交はエリアマップに交渉内容のアイコンを置くだけで、ターンを終了させるまで何度でも変更が可能です。 その為、── 膨大な ── 戦略を立てることに集中できるでしょう。 (戦闘を「自動」にすれば、さらに手早くプレイできます。) しかし、コンピューター側の AI は手強く、活動的に人間くさい手を打ってくるので、おいそれとプレイヤーを勝たせはしません。 また、このゲームで忘れてはならないのが「新世界」の存在です。 旧世界(欧州)から離れた海の向こうには「新世界」が拡がっており、艦船や探検家によって存在が明らかになってゆきます。 「新世界」には、もちろん住民がおり、部族を作っています。 そしてそこには、旧世界には無い「香辛料」「サトウキビ」「タバコ」「宝石」「貴金属」といった、価値の高い資源が存在します。 資源と利益を全て手に入れるために侵略するか、部族と交易をして高価な資源だけを入手するか、は、プレイヤーの戦略(と好み)です。 プレイヤーは戦略を立て、これらの要素を上手く活かし、帝国を大きくしてゆきます。 征服! 併合! 領土拡大! そして勝者は1人!! このゲームは、そんな「帝国主義 Imperialism 」ゲームです。 |
![]() 土地を開拓します |
![]() 資源を加工して生産 |
![]() 最新鋭の軍隊を編成 |
![]() 確実に領土が増えてゆく |
■ 資源と加工品について ★ 資源 資源はそれを生産する箇所に「建築士」ユニットで「開発」することによって、生産されます。 生産された資源は、「建設技師」ユニットによって引かれた道路・鉄道、もしくは「商船利用」の命を受けた船舶によって、自動的に輸送されます。 これら資源の確保は、このゲームのキモといえるかもしれません。 |
![]() 船の空きを見て輸送量を割り当て |
![]() 生産する労働者を割り振る |
・ 食糧資源 ☆ 重要 ★ 新世界の資源 「新世界」の資源は「旧世界」には存在せず、高い価値を持っています。 手に入れるには、原住民の部族から買い入れるか、農場のある州を制圧して開拓するしかありません。 また、首都への輸送は必ず海路になるので、艦船ユニットの増産、制海権の維持が必要になります。 ・ サトウキビ・タバコ・毛皮 ★ 加工品 「加工品」は、首都に運ばれた「資源」を「労働者」が加工することによって、生産されます。 ストックされた「加工品」は、土地の開拓や道路の建設、軍事ユニットの編成、などに使用されます。 ・ 布 = 羊毛×2 (綿花×2) |
■ プレイをしてみる (一部、日記「いつも通り」と重複します) このゲーム、なかなか手強いので、始めは「入門」レベルでも苦戦します。 とりあえず、「入門」レベルのランダムマップ、「オランダ」でプレイ。 さて我がオランダ帝国、スペイン&スウェーデンという強豪に挟まれる位置にありますが、いくつかの小国(中立国)が陸続きにあり、他国の海域を通らずとも外海に出られる利点が。 ここはまず「香辛料長者」になって、成金プレイをめざしますか。 まずは以前に何度も痛い目にあっている「飢餓」と「資源不足」(とほほ)を避けるため、森林&穀倉地帯の開拓に着手。 そして「鉄」。 市民ユニット「建築士」と「探検家」を追加。 ここで「建築技師」も追加したいところですが、まだ「資源」の量が足りないので、これは後回しです。 「建築技師」×1に道路を引かせ、「建築士」×2は森林と穀倉地帯を開拓。 「探検隊」を国内に派遣し、シャカリキに鉄鉱石を探します。 「道路はその周囲1スクウェアから資源を輸送できる」ので、まんべんなく引こうと思わず、頭を絞って「一筆書き」の要領で引いてゆきます。 (始めは道路上からのみ資源を輸送できると勘違いしていたので、道路を引きまくり、資源不足に陥りました。(笑)) 外交では、隣の小国アイルランドが「羊」と「銅」を売り物にしていたので、資金援助とともに通商政策でガシガシ買い入れ。 我が帝国への依存度を高めます。 ── といいましょうか、「最高の取引先」をめざします。 これはもちろん、後に我が帝国へ編入させるための工作です。 ふははははは 外海へは船を派遣し、新大陸の探索です。 始めに所有している3隻の船のうち、2隻を分けて探索へ赴かせます。 南回りで探索をしていた船が、「新大陸」を発見し、チェロキー族と遭遇。 彼らは、「香辛料」と「タバコ」を生産していました。 ここはいきなり 「ハロー」→「侵略」 騎士を上陸させて、港付の首都を陥落させてしまいました。 (ここで何のペナルティも無いのが、実にヨーロピアンで香ばしいですね) スペインとスウェーデン、ポルトガルとイギリスも負けじと、新大陸へと「進出」。 スペインは「サトウキビ」、スウェーデンは「毛皮」をほぼ独占しました。 これは非常に痛い。 サトウキビと毛皮は、国内の上級労働者に必要な贅沢品。 我がオランダの労働者を上級労働者にレベルアップさせるとき、困ったことになります。 ここはしかたがないので、少ないサトウキビ畑を開拓し、生産のレベルを上げて対処することに決定。 毛皮のことは後回しです。 フランスは史実さながら、新大陸には「領事館」を建設し、「宥和政策」を取って「通商」しようとしていたようですが、その通商相手はあっさりスペインとイギリスに滅ぼされてしまいました。 南無。 さて、「香辛料」長者をめざした我がオランダ帝国ですが、思ったより儲けが出ないことに気付きました。 「香辛料」はすぐに発見でき、すぐに換金できるという利点がありますが、バランスを取るためか、そう大儲けはできないようです。 しかし、我がオランダ帝国も悪運が強いといいましょうか。 新大陸での対スペイン・イギリスの橋頭堡にしようと確保した州に、「鉄」の大鉱脈と「銀山」を発見。 さらに続けて不毛の砂漠地帯に「ダイヤモンド」も発見しました。 (ウハウハ) ところが儲かったお金は、小国への援助金と資源の買い取りで右から左に消えてゆき、徐々に赤字状態。 さらに赤字になっても ODA ……もとい援助続行。 まるで、どこぞの国のようですね。 この経済危機、研究開発費のカットと、「錫」+「銅」で出来る「青銅」などの「戦略資源」を他国への切り売りしてしのぎます。 他国の軍備が整ってしまいますが、しかたありません。 (希少金属の「錫」ですが、幸運なことに、このマップでは領内の沼地に鉱脈が1つ存在していました。) そして…… 苦労実ってアイルランドを帝国に編入です。 その他の小国、スコットランドとイタリアも通商政策で、かなりの親オランダ派です。 ここでもう一押しして、穀倉地帯&「鉄」「石炭」鉱山がある、「おいしい」イタリアを帝国に編入。 このあたりで、スウェーデンがスコットランドに手を伸ばし始めたので、さらに無理をして金をばらまき、スコットランドも帝国に編入。 我がオランダ帝国は、実に平和的に(笑)版図を拡大しました。 |
![]() アイルランドを併合したオランダ (オレンジ色のエリア) |
![]() 周辺の小国も親オランダ派へ (緑色のエリア) |
しかし。 急激に拡張した帝国は、「食い扶持」が増大。 ろ、労働者の食料が足りません。 あわわ 旧小国の軍備 ── そのほとんどが「弩兵」 ── を縮小し、急いで未開拓の穀倉地帯・牧草地を開拓しましたが、不覚にもいくばくかの餓死者が……。 すまない、労働者諸君。 しばらくは拡大した内地の開拓に勤しみます。 なーんにも無いと思っていたスコットランドですが、以外と森林と穀倉地帯が豊富で、ボチボチと船舶と労働者の増加に成功。 船舶が増えると交易できる枠が増え、労働者が増えると資材の生産量が増える。 そしてそれを売りに出し、資金が増える。 足りない資材は買い入れ、帝国間の関係も改善。 そして、工作資金は新大陸の香辛料と宝石が満たしてくれます。 ウマイ具合に、帝国が運営され始めました。 ここらで、小国スイスの併合に着手。 しかしスイスは大国ポルトガルの息が掛かっており、「軍事的併合」(つまり攻め込むこと)をした場合、「大戦」が勃発することウケ合い。 ポルトガルとの関係も保ちながら、徐々にスイスを親オランダ派へと工作。 そこに。 なんとフランスがスイスへ侵攻。 フランスは新大陸の利権も獲得できず、イギリスとポルトガルに挟まれて雪隠詰めになっています。 小国スイスに手を伸ばしても不思議はないでしょう。 |
![]() さらに周辺を併合したオランダ (オレンジ色のエリア) |
![]() 食料を増産するために、 穀倉地帯を開拓します。 |
ここは策を巡らせて、フランスを孤立させる作戦を実行します。 親ポルトガルのスイスに攻め込まれて怒っているポルトガルに軍事資金の賞与。 さらにフランスからの資源買い入れを全て中止し、スペインとスウェーデン中心に取引。 頃合いを見計らってフランスに宣戦布告すると、他の国が全て同時にフランスへ宣戦布告しました。 (おいおい) フランスの領地は、ポルトガルと我がオランダに切り取られ、フランスの植民地はスウェーデンに切り取られ、フランス王国はあっさり滅亡。 元スイス領フランスは、大義名分の元、我がオランダに接収されました。 「弱い奴が悪い」 ──実にヨーロピアンな帝国主義であります。 さて、旧大陸の大きな部分を占めるようになったオランダ帝国。 (これでもまだ勝利条件を満たしていません。 なかなか悩ましい勝利条件です。) 他国に警戒され始め、スウェーデン・スペイン・イギリスが対オランダ同盟(らしきもの)を組み始めました。 3国を相手にしたら、さすがのオランダでもひとたまりもありません!! まだ、対オランダ感情の良いポルトガルとの関係を交易で強固にし、スウェーデンとイギリスとの交易を拡大して関係を改善させます。 そして、対スペイン戦の準備。 避けられない戦いならば、相手を少なくするのに越したことはありません。 さらにスペインは、オランダと同盟国ポルトガルとの間に位置しており、挟み撃ちにできるので、戦線を有利に張ることができるのです。 スウェーデン&イギリスとの同盟を結び直し、後顧の憂いを無くしてから、 スペインへ宣戦布告。 ポルトガルも参戦しました。 案の定、スウェーデンとイギリスも後を追うように参戦。 ポルトガルがスペインの首都マドリードを徹底的に海上封鎖。 我がオランダは、国境沿いに集結させていた最新鋭の軍で、スペイン侵攻。 軍費は新大陸から湧いて出てくるため、3ターンでスペインは首都マドリードを残すのみ。 目を移してスペインの新大陸領は、ほぼスウェーデンとイギリスに接収されました。 しかし。 マドリードは固かった。 スペインは、オランダの5年にもおよぶ攻撃に耐え、その間にスウェーデン&イギリスとの関係を正常化。 スウェーデンが背後でゴソゴソと動き回りはじめます。 スペインに、かかずらい過ぎていました。 このままでは、背後を突かれる恐れがあります。 とっとと「停戦」すると、参戦していたポルトガルが怒って同盟を破棄。 怒ってもしかたあるめぇ。 こちとらにも都合があるってもんだ。 とりあえず、イギリスにはおとなしくしてもらって、 やる気満々のスウェーデンへ宣戦布告。 スウェーデンは待ってましたとばかりにオランダ領へ侵攻開始。 さすがに新大陸に駐留していた兵を呼び戻してまで準備してあった軍です。 スウェーデン軍は、あっさり前線の砦を抜き、旧アイルランド・ダブリンまで侵攻。 我が帝国の首都アムステルダム近辺まで迫ってきました。 しかし、スウェーデン戦線に駐屯していたオランダ軍が、スウェーデンの延びきった兵站をバッサリと断ち切ります スウェーデン軍の主力はダブリンで孤立。 同時に、上級労働者に必要な毛皮・煙草・砂糖の補給を止める為、スウェーデン首都ストックホルムを「黒船」(装甲艦)で海上封鎖。 ここでオランダ軍は、一気にスウェーデン領へ侵攻開始。 オランダ帝国は旧世界の半分を領有し、勝利しました。 ※ この後、ダブリンに孤立したスウェーデン主力軍に国内を荒らされそうになりましたが、焦らずに国境線を固めて消耗を待ってから進軍。 主力軍が壊滅したため、スウェーデンは講和条約を受け入れました。 |
![]() フランスもスペインも下して勝利〜 でも、自国領内の真ん中にある スウェーデン領(水色)が恥ずかしい。 |
■ おわりに 実にハマる「帝国運営」ゲームです。 ある意味、ここまでストレートに「征服」を目標にしたゲームも珍しいかもしれません。 (当初は「シヴィライゼーション2 CIVILIZATION II 」や「コロナイゼーション COLONIZATION 」に類似したゲームだと感じましたが、まったく毛色の異なるものです。) 「征服」というシンプルな目標をめざす帝国の運営も、「経済」←→「軍事」←→「外交」が密接に関係しており、プレイヤーの「一手」が全てに影響を及ぼします。 特に「資源」と「加工物」に重点がおかれた「経済」は、ちょっと取っつきは悪いですが、考えがいのあるトコロ。 深く戦略を立てつつ臨機応変に、そして時には行き当たりバッタリに。(笑) 手強いコンピュータ相手に丁々発止、戦略マップを自国の色に染めてゆく、実に歯応えのあるプレイを楽しめます。 (ちなみに、ネットワークで対人プレイも可能です。) システムはボードゲーム的で、「シンプルに」まとまっていますが、資源と加工の管理・計算はコンピュータの利点を活かし、プレイヤーの負担を増やすことなく上手く「複雑に」しています。 このゲームは、「上手くコンピュータ上に持ってきたボードゲーム」、と筆者は感じました。 そんなゲームですが、欠点も多々あります。 ・ 「取っつきが悪い」 ── 資源や加工のルールがシンプルとは言えないので把握しづらいですし、入門レベルでもコンピュータ側は弱くないので、チュートリアルをやっても苦戦するかもしれません。……とは言うものの、これらの欠点が気にならないほどの魅力が、このゲームにはあります。 深く、覇権への戦略を練る。 そんなプレイをしたい方には、オススメのゲームです。 (2002/11/27) : 更新 |