コロナイゼーション
    Sid Meier's
   COLONIZATION

  MICROPROSE
   /伊藤忠商事(現・アンバランス)
  WIN 3.1 専用 (日・英)
  WIN 95 (日)

この新大陸を「新日本」と名付ける。
これでホントの「新日本紀行」。


■ ゲームについて

 時代は16世紀。 プレイヤーはヨーロッパの王国の命を受け、新大陸を開拓し、最後には独立を勝ち取るという、歴史ストラテジーゲームです。
 フランスは何故、新大陸に国家を作れなかったのか? オランダは何故、ニュー・アムステルダム(=後のニューヨーク)を手放したのか?
 「アメリカ建国の光と影」を感じさせてくれる名ゲームです。
 (ゲーム・システムは、「 CIVILIZATION 」のものを使用しています)

 ゲームは、
  新大陸に都市(コロニー)を建設して、周辺を開拓、
  移民を受け入れ、適材適所に人材を配置、
  新大陸で採れる原料から、産業を発展、
  先住民との関係を考えつつ、植民地を拡張、
 することにより進んでゆきます。
 (開拓するマップは、ゲームをプレイするたび、ランダムに生成されます)

 また、他国の植民地との外交──同盟・衝突──も考えねばなりません。
 本国と他国の間に戦争が起きると、植民地間での戦争が起きることがあります。

 ゲームが進んで行き、都市と人口が増えて自治能力が上がると、移民の間で「独立の機運」が高まってゆきます。
 「独立を宣言」すると、鎮圧のために本国から大量の軍隊が投入されます。
 それを全て撃退するか戦闘不能にすると、「独立」が成功して「新国家」を設立できます。

 国民たちは、プレイヤーの業績(スコア)によって様々なもの──「毒虫」から「動物」「建造物」、「国の名前」───にプレイヤーの名前を冠して、その名を歴史に残します。




■ 王国

 プレイヤーは、「本国」を4つの王国から選択します。

イギリス 特徴移民
 宗教闘争と経済不況により、人々はこぞって新世界を目指した。
 移民希望者が多い。
フランス 特徴協力
 毛皮貿易コロニー建設を重視し、先住民と協力した。
 他の国よりも先住民からの攻撃を受けにくい。
スペイン 特徴兵力
 有り余った軍事力を生かし、先住民から実権を奪い金銀財宝を得た。
 先住民の村や町への攻撃力が高い。 財宝も得やすい。
オランダ 特徴貿易
 海運国として名を馳せ、海外進出も積極的に行った。
 ゲーム開始から「商用船」を使用でき、本国の物価も安定している。


 それぞれの国の長所を生かして、開拓の戦略を練りましょう。
 中でも、移民の多い「イギリス」は、植民地の発展に有利です。 事実、現在の「アメリカ」は、イギリスの植民地から独立した国です。
 「スペイン」は、先住民に対して軍事的に有利に立てるため、植民地の拡張と共に金の獲得に有利です。 (現在の「ブラジル」はスペインから独立しました)
 地味ながら、「フランス」「オランダ」は経済的な発展が見込まれます。
 「オランダ」は、生産物を大量に売りさばいても本国の相場が上下しないので、定期的な収入が見込まれます。
 「フランス」は、先住民と協調路線を取ることによって、他国との差を付ける事が出来ます。 特に中盤以降、他国が先住民と対立する頃に協調できるのは大きいです。




■ ゲームのポイント

 ゲームの重要なポイントは、「移民」「産業」「先住民」です。

◆ 移民

 新大陸を夢見る人々や、宗教戦争で迫害された人々、借金を抱えた契約労働者、流刑人など、様々な移民希望者が、本国の港で待っています。
 (大学から、ベテランの人物を新大陸へ引き抜くことも出来ます)

 移民は、建設した都市とその周辺に配置することによって、生産などの活動を行います。
 平原や開拓した畑に配置すると「食料」や他の農作物が生産され、森に配置すると「木材」を伐採、河に配置すると「毛皮」を採取できます。
 都市の中の建物、「工房」に配置すると採取した原材料から加工物を生産でき、「大工小屋」に配置すると建物の増築が出来ます。

 移民にはベテランの職業の人間──農夫・木こり・大工・ラム酒職人・宣教師・等々───がおり、彼らを適材適所に配置してゆくと、効率が良くなります。
 しかし、移民が生きてゆくためには食料が必要なので、初期の都市では宣教師や政治家でも食料の生産に携わらなくてはならないでしょう。

 移民を増やすには、都市に教会を建設して「宣教師」を配置します。
 すると新大陸での「信仰」(「十字架」で表される)が増えて、迫害された人々の移民が増えます。



本国の港で製品を売りさばく。 桟橋で移民も待っているのだ。

◆ 産業

 建設した都市の周辺からは、その地形により、綿・さとうきび・タバコの葉・毛皮などの原材料を採ることが出来ます。
 これらの原材料を売りさばいてもお金になりますが、それらを加工し、綿から布を、さとうきびからラム酒を、タバコの葉から葉巻を、毛皮からコートを作れば、さらに高く売りさばけます。

 新大陸で生産された物品は、本国の港へ輸送して売りさばき、その資金で必要な物品(銃・馬・船など)を手に入れることが出来ます。
 儲けが増えると、国王から次々と増税を言い渡さます。
 (あまりに高い増税を言い渡された時、それを拒否して製品を海に投げ込む事もできます。──いわゆる「ボストン紅茶事件」です。)
 時代が進むにつれて、産業は徐々に「本国への依存」から「自給自足」へと移行しなくてはなりません。


◆ 先住民

 新大陸には「先住民」が住んでいます。
 彼らは異邦人であるプレイヤーを受け入れてくれます。──怒らせない限りは。
 彼らと交易をしたり、彼らの知恵を伝授してもらったり、と友好的な関係を築くか、彼らと戦って排除したり、先祖の墓を暴いて黄金を手に入れるか、はプレイヤー次第です。

 友好的な関係を保っても、こちらの都市が多くなると、先住民の警戒心と敵対心は高くなり、衝突がしばしば起こります。
 ここで敵対するか、友好を保つか、ゲームをプレイしている間、ずっと悩むことになるでしょう。

 逆に、他の植民地と敵対している部族に馬と鉄砲を与えて、ライバルの力をそぐことも出来ます。
 ただし、その武力が自分達に向けられることもある、といことも忘れないで下さい。
 また、宣教師を村に派遣することによって、先住民を「改宗」させることが出来ます。
 さらに都市の「信仰」が深いと、先住民は都市にやってきて、町づくりの手助けをしてくれます。




先住民と交易するのも、おトクでっせ〜。



■ コロニー(都市)

 このゲームは、「コロニー(都市)」を中心に進んで行きます。
 コロニーを建設する場所、都市の運営は、ゲームの戦略と密接に関わってゆきます。



「大草原の小さな家」を思い出すような町。
ちなみにこの町は、毛皮コートの一大生産地です。

◆ 主な地形

 コロニーを建設したスクウェアと、その周辺のスクウェア、計9つのスクウェアから生産物を採取出来、その地形によって採れる産物は異なります。
 プレイヤーの戦略により、コロニーを建設する場所を選んで下さい。
 ただし、先住民の土地にコロニーを建設すると怒りを買い、衝突は避けられないので注意します。

プレーン食料・タバコ・綿花
プレーリー食料・さとうきび・タバコ
サバンナ食料・さとうきび・タバコ・綿花
山岳鉄鉱石・銀
(+森)毛皮・材木


◆ 主な建物

 住民を建物に配置すると、建設や生産などが行えます。
 「都市の運営」も、住民を建物に配置することによって行われます。

集会所人を配置すると、コロニーの自治能力が上がる
大工の家人を配置すると、「材木」を加工して建設・生産が出来る
鍛冶屋の家人を配置すると、「鉄鉱石」を加工して建設・生産が出来る
葉巻職人の家人を配置すると、「タバコ」を加工して「葉巻」を作れる
はた織り職人の家人を配置すると、「綿花」を加工して「布」が作れる
ラム酒職人の家人を配置すると、「さとうきび」を加工して「ラム酒」を作れる
コート屋の家人を配置すると、「毛皮」を加工して「コート」を作れる
寺子屋→学校ベテランが他の移民に技術を教えることが出来る
教会「十字架(信仰)」が増える/宣教師を養成できる
兵器工場人を配置すると、鍛冶屋の加工した工具で「鉄砲」を生産できる
漁港→ドック漁業を行える→船の修理が出来る→船が建造できる
馬小屋「馬」の繁殖力が増える
木の柵→砦コロニーの防御力を上げる


◆ 食料の生産

 コロニーの住民と馬が生きて行く為には「食料」が必要です。
 コロニーも最初の頃は生産力も低く、「ベテランはた織り職人」でさえ食料を生産しなくてはならないでしょう。

 食料の生産を増やすには、周辺の森林を切り出して平地にして畑を作ります。
 そこに、「ベテラン農夫」を配置すると、生産力は爆発的に上がります。
 ここでも、先住民との衝突に気を付けて下さい。
 また、「漁港」を建設して、周辺の海で漁を行っても食料の生産は上がります。


◆ 自治能力

 「集会所」で「自由の鐘」が増えると、それはそのコロニーの「自治能力」が上がったことになります。
 「自治能力」が上がると、コロニーの住民は本国を意識しなくなり、生産能力がどんどん上がります。

 しかし、「新しい住民」、特に「やる気のない契約労働者」や「流刑者」がコロニーに配置されると、「自治能力」が一気に下がります。
 そんな時は、「集会所」に「都市の運営」を任せた住民たち(「議会」)を配置して、「自由の鐘」を増やしましょう。
 しばらくすると、都市の機能は元に戻ります。

 また、「寺子屋」や「学校」に「ベテラン」を配置すると「教育」の効果により、「コロニスト」は「ベテラン」に、イヤイヤ働いていた「契約労働者」はヤル気のある「コロニスト」に、「流刑人」は「契約労働者」へと格上げされます。
 そうすると、「自治能力」は自然と上がります。

 そうして自然と上がっていった「自治能力」は、段々と「本国からの独立」の機運へと高まってゆくでしょう。


◆ コロニーの役割分担

 この未開の土地で(さらに先住民も住んでいる土地で)、全てのコロニーを「自給自足」させて「生産力」を上げるのはムリがあります。

 例えば食料の生産力が高いコロニーを「一大食料生産地」として、「鉱山コロニー」や「綿花コロニー」へ幌馬車で食料を輸送。
 「鉱山コロニー」からは「工業都市」へ鉄鉱石を運び入れて、「武器」の生産。
 と、各コロニーに役割を分担させると、住民が少なくても生産力は一段と上がります。




■ 軍事

 コロニーの防衛だけでなく、他国コロニーとの戦争や独立戦争において、軍事力は必要になってきます。
(ただし、このゲームにおける戦闘は単純化されていて、ヒットポイントや火力、ZOC などのルールがないので、物足りないと思う方もいるかもしれません。)

◆ 主な戦闘ユニット

兵士  「銃」があればコロニストから編成できます。
 戦闘に負けるとただのコロニストへ降格します。
ドラクーン  「銃」と「馬」があればコロニストから編成できます。
 移動力も高いので、陸戦の主戦力になるでしょう。
 戦闘に負けると「兵士」へ降格します。
大砲  本国で購入するか、兵器工場で生産します。
 コロニーの防衛や、対船射撃に威力を発揮します。
 戦闘に負けると「損傷」し、さらに負けると破壊されます。
フリゲート艦  本国で購入するか、造船所で生産します。
 海戦の主戦力になるでしょう。
 戦闘に負けると、近くの造船ドックに入るか、沈没します。
海賊船  本国で購入するか、造船所で生産します。
 攻撃しても国籍が判らないため、他国の船を攻撃して物資を略奪しても、戦争状態になりません。



「国有」海賊船で制海権を確保するのだ。



■ 「建国の父」

 「自由の鐘」が増えてゆくと、「建国の父」と呼ばれる人物達がコロニーの運営に参加します。
 その中でも、彼らはぜひとも議会に加えたい、オススメの人物。

・アダム・スミス (貿易)
 コロニーに工場建設が出来るようになり、生産効率が上がる。
・ピーター・スタイベサン (貿易)
 コロニーに税関を建設でき、自動的に本国との交易が出来る。
・ラ・サール (探検)
 人口が3以上のコロニー全てに「木の柵」ができる。
・ジョージ・ワシントン (軍事)
 兵士とドラクーンが戦闘に勝つと、全て自動的にベテランとなる。
・フランシス・ドレイク (軍事)
 コロニー側の「海賊船」の戦闘能力が 50% アップする。

 中でも、ピーター・スタイベサンとフランシス・ドレイクを議会に招くと、ゲームにおいて有利になります。
 ピーター・スタイベサンによる「税関」は、生産物のヨーロッパへの輸送を省き、迅速に売りさばくことができます。 さらに、独立戦争中もそれは有効になります。
 フランシス・ドレイクによる「海賊船ボーナス」は、安価な海賊船による制海権の確保が可能となります。




「大陸会議」。 独立派は 11% 。 独立までは遠いな〜。



■ おわりに

 とにかくこのゲーム、「上手いハナシで儲ける」というヤマ師のような面白さに加え、「新大陸と新国家(アメリカ)について」製作者 Sid=Meier 氏の書いた歴史論文の中で遊んでいる気分にさせられる、ひじょーに面白いゲームである

 儲けようと開拓してゆくには、過酷な土地で生きてゆかねばならない。
 過酷な土地で生きてゆくには、西欧型の都市を建設せねばならない。
 西欧型の都市を建設するには、自然を改造しなくてはならない。
 自然を改造するには、先住民との衝突は避けられない。

 住民が生活するためには、都市の自治能力を上げねばならない。
 自治能力を上げると、独立の気運が高まる。
 独立の機運が高まると、本国の警戒心が上がってゆく。
 本国とコロニーの対立が深まると、一気に「独立戦争」へと持ち込まれる。

 シンプルなルールの中にある、「ジレンマ」
 「 COLONIZATION 」は、この「ジレンマ」のバランスが絶妙の、傑作「開拓ゲーム」である。

 惜しむらくは、現在、「コロナイゼーション・完全日本語版」の発売元「アンバランス(旧・伊藤忠商事)」が、このゲームの販売をしていないことである。
 WIN 95 以降に対応した日本語版も発売したのに、惜しいことである。
 元々このゲームは、Win 3.1 専用であるため、アップグレードをしないと WIN 95 以降で走らないのだ。
 ぜひとも、復刻きぼー。 である。




■ Windows 95 対応プログラム (転載)

 「コロナイゼーション・完全日本語版」は元々 Win 3.1 用でしたが、後に WIN 95 でも走るようにアップデート・ファイルが配布されました。
 現在、ファイルが入手し辛くなっているので、このページに転載いたします。

 また、同ファイルはニフティの「パソコンゲーム・フォーラム」( FCGAMEP )の「4:データライブラリ」にアップロードされています。

◆ ドキュメント 〜お読み下さい
◆ 「コロナイゼーション・完全日本語版」 Windows 95 対応プログラム

※ 注 : 現在、「伊藤忠商事」(現:「 UNBALANCE 」)はサポートを行っていないので、導入はご自身の責任で行ってください。



(声)「何していいかわからん」「経済は面白いね、独立は面倒くさいけど」「日本人向けじゃないっ!」「陛下、商品を高価く買って下さい、わんわん」

ゲームシステム ★★★★★
 システム自身は、シヴィライゼーションのものを改良したもの。
グラフィック ★★★☆☆
 シンプルだがシックでユーモラス。少々クセがあるが、イイ味。
プレイアビリティ ★★★★☆
 強攻策や懐柔策など、色々なパターンで、何度でもチャレンジしたくなる。
操作性 ★★★☆☆
 感覚的にわかりやすい。 ただ、メニューが洗練されていないところもある。
演出 ★★★☆☆
 BGMや効果音が雰囲気をだしている。
セットアップ ★★★☆☆
 Win 3.1 版を WIN95 上で走らせる場合、アップデートしなくてはならない。
歴史 ★★★★★
 「作者の書いた歴史論文」の中でゲームをしているような感じ。
思考ルーチン ★★★★☆
 ユニットの移動は少々甘いが痛いところをツイてくる。先住民が悩みの種。

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